|自転車と歩行者が事故!ほとんどの状況では自転車が加害者!
主婦が自転車に乗って、歩道上で歩行者と軽微な接触事故が起きました。
保険会社の担当者が「歩道は歩行者が優先です。ベルを鳴らしながら歩行者に避けてもらう様な運転は違反行為です」に対して自転車の主婦は「そんなこと知らないわよ!いつから?誰が決めたの?衝突しない様にベルを鳴らしながらみんな走っているよ!」
残念なことに、これが現状なのです。
しかし、事故が起きた場合に交通ルールや法規は知らなかった!で、許されるものではありません。
自転車は、児童から高齢者までの広範囲の年齢層が乗れること、歩道や車道だけではなく公園や遊歩道、車両での通行が規制されているエリアでも通行可能な状況にもあります。
法的に規制されている場所であっても、「知らなかった」の一言で通行している人もいます。
年齢層や活動エリアが広範囲な状況にある分、相手が自動車に限らず歩行者と事故が起きる確率も高くなっています。
特に、歩行者と事故が起きた場合は、自転車側の方に過失が大きくほぼ全事故で加害者側になると思って間違いではないでしょう。
自転車にも、軽車両として「道路交通法」が適用されるので、法律による規制の対象になるのです。
|自転車走行に関しての基本的ルールや遵守事項
自転車で走行する場合の、基本的な法的な規制やルール違反は事故が起きた場合に過失割合についても修正要素として反映される事になります。
|自転車は車道の左側走行が原則、歩道走行は例外規定!
自転車は道路交通法上では、「軽車両」となり自動車と同じ車両として扱われます。
よって、歩道と車道の区別のある場所では、自転車は車道を通行するのが原則となります。
更に、車道を走行する場合においても左側を通行しなければなりません。
右側通行は道交法違反でもあり、対面する自転車や自動車に対して危険を与えているという事になります。
違反した場合は、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。
また、自転車専用道がある場合は専用道を通るのは当然ですが、その場合でも必ず左側を通行しなければなりません。
違反した場合は、2万円以下の罰金または科料に処せられます。
車道に路側帯があるところは、歩行者の通行妨害になる場合を除き、路側帯を通行することができます・・が、歩行者用の路側帯は自転車通行が不可になっていますので要注意ということになります。
道路の幅員によっては片側だけ路側帯を設けている場合は、道路の左側部分に設けられた路側帯を通行する事と限定されています。
つまり、進行方向によっては路側帯を走行しないで、車道の左側走行の状況になる場合もあります。
違反した場合は、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます。
|歩道は歩行者優先で、自転車通行の場合は車道側を徐行が条件!
歩道上では歩行者が優先ですが軽車両である自転車が、例外的に歩道を通行することができる場合があります。
自転車で歩道を通行する際は、歩道の車道寄りか又は指定された場所を直ちに停止できる速度で通行し、歩行者の妨害となる場合は停止しなければなりません。
後ろから、「自転車が来ていますよ、避けて下さい!」的なベルを鳴らしながら走行して、歩行者に道を開ける様に促す行為は法的な違反以前にマナーとしても論外というべきでしょう!
違反した場合は、2万円以下の罰金または科料に処せられます。
自転車で歩道を通行できる条件としては、歩道に「自転車歩道通行可」の道路標識等がある場合、幼児や13歳未満の児童、70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が運転している場合が認められています。
そして、非常に曖昧なのは、車道または交通の状況からやむを得ないと判断された場合がありますが、事故が起きた場合は「やむを得ない」と判断した理由が求められるでしょう。
|自転車の主なルールと過失割合の数字が加算される条件や状況
|飲酒しての運転は違反です!
自転車は軽車両です、飲酒しての運転は酒気帯びで「著しい過失」、酒酔いで「重過失」として概ね10%~20%の過失が基本割合に加算されます。
酒酔い状態で運転した場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金になります。
|信号の指示を守る
自転車が赤信号無視をして歩行者と事故が起きた場合、基本的には90%以上の過失が認められ、事故の相手が車両や二輪車の場合であっても、状況によっては80%程度の過失が認定される事になります。
そして信号無視によって、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金等が科せられます。
|一時停止と安全確認をしっかり行う!
自転車側に一時不停止があった場合は、基本割合に10%程度の加算修正されることになります。
一時不停止は、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金等が科せられます。
|夜間の走行はライト点灯が必須!
自転車にも、夜間に前照灯の点灯義務があります。
自転車の前照灯は光量も小さく、歩行者から発見しやすい状況ではないため、夜間という理由だけで過失の修正加算は相当ではないと判断しています。
但し、自転車が無灯火であったことに対しては「著しい過失」として修正されることになります。
|基本的に二人乗りは禁止!
二人乗りは違反ですが、幼児を乗せる場合等は例外的に認められています。
事故が起きた場合は、「著しい過失」として基本の過失割合に10%程が加算されます。
二人乗りの違反をした場合は、2万円以下の罰金または科料に処せられます。
そして、二人乗りの自転車事故は、賠償上多くの問題を含むことになります。
過失が適用されるのは、自転車の運転者のみ?消極的な意味での加害者になり得るのではないか?
荷台に乗っていてケガをした場合は?自転車の運転者にも賠償請求は可能なのか?
広義の好意同乗による減額の対象になるのか?
二人乗りは違法であることを理解した上で、荷台に乗ってケガをした場合は?自己責任もあるのでは?!
状況によって、賠償上は多くの問題が生じる可能性は高いのです!個人的には最も避けたい事故形態のひとつになります。
|複数の自転車が横に並んでの走行は禁止!
「並進可」の標識のある場所では、2台まで並進する事が出来ます。
それ以外の場所で並進した場合は、2万円以下の罰金または科料になります。
そして、過失は基本割合に「著しい過失」として10%加算されることになります。
|その他の主な違反として・・
自転車走行しながらの携帯電話やイヤホン等の禁止、雨傘を差しながらの片手運転はしない!
どちらの行為も、各都道府県公安委員会の遵守事項違反として、5万円以下の罰金にあたる可能性が有ります。
過失割合は、「著しい過失」で基本割合に10%程を加算修正されることになります。
|右折は二段階で行う!
違反した場合は、2万円以下の罰金または科料。
右折を二段階で行わなかったことで、歩行者と事故が起きる可能性はないと思いますが、車両や二輪車とは事故を想定した基本割合は設定されていますので、知っておく必要があります。
|自転車の事故における過失割合を判断する!
自動車(バイク含む)と自転車による交通事故が起きた場合は、自動車同士の事故と違い、自動車側の方に過失が大きくなる様に修正されています。
理由として、事故が起きた場合は自転車のダメージが大きいからです。
事故の衝撃の程度にもよりますが、自転車に乗っていた人が重傷若しくは死亡したとしても、自動車の運転者は無傷であることは珍しくありません。
自動車と自転車の交通事故の過失割合は、交通弱者としての自転車を保護する観点(弱者優先)から、自転車側を小さく自動車側を大きく(優者危険負担)するのが基本的な考え方になっています。
自動車と自転車の事故と同じ様に、自転車と歩行者との事故も「弱者優先」や「優者危険負担」の原則に立って、歩行者保護の観点から基本的な過失割合が判断されています。
歩行者に明らかな法的な違反が有る場合でも、修正要素の適用によって過失割合は実に簡単に自転車側が第一原因者になってしまうケースが少なくありません。
更に、自転車と歩行者の事故が起きた際に、歩行者側が幼児や児童や高齢者、若しくは身体障害者であった場合は被害者保護の観点から、10%~20%位を被害者側に減算修正して適用させています。
しかし、自転車の運転者が児童や高齢者、身体障害者であった場合、加算修正の要素にはしていませんが、減算修正も適用させていませんので、加害者側として賠償責任が生じるのです。
「判例タイムズ」では、「自転車という他者に対して危険を及ぼし得る交通手段を利用している者が、自らの危険管理能力の欠如を理由に責任を減ぜられることを正当化することは困難・・」と厳しい文言が記載されています。