入院や付添い看護をした場合の請求は?基準はあるのか?

対人賠償

|入院して治療を受けた場合は「入院諸雑費」が認められます!
医師の指示や、ケガの症状によっては入院しての治療を受けることになります。


入院諸雑費は、入院療養に直接必要のある諸物品の購入費又は使用料、医師の指示により摂取した栄養物の費用、そして通信費等、かなり広範囲な支出を賄うことになります。

自賠責基準では定額で入院1日当たり1、100
円が認定されますが、裁判の基準では1日当たり1,500円の認定額になります。

定額の金額は費用を支出しなかった場合でも認定される金額になりますので、請求する際に領収書の提出は必要ありません。

しかし、定額を超えた費用を請求されるケースが時々あります。


領収書を提出されても、定額や基準額を大幅に超えるものについては保険会社は多くは認めていないのが実状です。

必要性や状況によって定額
以上の支出が見込まれる場合は、保険会社と事前協議を実施した上で判断されることをお勧めしたい。

保険会社が認められないと判断された場合の、自己負担を回避したり軽減すること等の対応や選択が可能になるからです。

また、保険会社と後付けで協議を行うを場合や、認定について争う場合でも請求の根拠として領収書は必要になりますので、保存しておく事が大切です。


入院諸雑費は入院することで、必要な物を購入するための費用なので、例えば見舞客の接待等の間接費用や、退院後も自宅で通常に使用できる、食器や衣服等は入院雑費として認定されませんので注意が必要になります。


但し、入院諸雑費として認定可能な 「入院日数✕定額(1,100円)」の範囲内で購入される場合は特段の許可や協議の必要は生じないことになります。

|付添いによる看護料は状況によって請求は可能!

入院や通院どちらの場合であっても、付添い看護が必要な場合には、その費用が認められます。


看護が必要な範囲について、12歳以下の子供(小学6年生)に近親者が付き添った場合には、医師の証明等は必要ありません。


また、治療が継続中に13歳になった場合でも13歳迄は認定できます。


自賠責保険基準では、入院の場合1日当たり4,200円が、通院で2,100円が定額で認められます(2020年4月1日前の事故は、入院で4,050円、通院は2,050円)。

また、近親者の範囲として同居の家族と、3親等内の親族が付添いのため休業された場合は、休業損害証明書により日額19,000円を限度に実額の認定が可能になります。


付添い者の交通費は、「付き添い看護費」に含まれると判断される場合もあります。


その他に入院に付き添う場合の、寝具等のレンタル費用等は妥当な範囲で認められます。


付添い者の病院内等での食事代は認められません。

何処にいても食事はされるので、付添うことで発生する損害ではないとの理由です。


なお、家政婦に看護を依頼した場合の食事代は、看護費用基本料金の中に含まれているのが一般的ですが、被害者が提供した場合は1日1,500円の範囲で認められるのが一般的です。

同じ事故で、親と12歳以下の子供がケガをして同じ病院に一緒に通院した場合は、子供に対しての付き添い看護料は認定されます。

また、12歳以下の子供の通院に付添う際に、留守宅に12歳以下の兄弟や付添いの必要な障害者、要介護の高齢者を残す場合などは、通院の付添い看護費用、留守宅の看護や介護の費用の両方の費用を請求することが出来ます。

家政婦に依頼する場合は、地域の家政婦会の料金が認められ、近親者で休業を伴う看護や介護を行う場合は、家政婦会の料金の範囲内で休業損害の実額が認定されます。


事故で家族が入院し、主婦が付添う状況になった時、留守宅に12歳以下の面倒をみてもらうために家政婦を依頼した場合は、看護料の定額と家政婦会の料金の高い金額の方で認定している様です。

12歳以下の子供2人以上がケガをして、1人の近親者が付添った場合は、入院・通院ともに定額の30%増しの看護料が認められています。


13歳以上の通常看護については、事故による受傷の程度等によって個別事情を勘案して判断されることになります。


費用に関しては必要かつ妥当な範囲の実費が判断の原則になります。

事情や状況によって定額を超えることが明らかな場合は、立証資料によっては請求額が認められる可能性もあります。


そして、もうひとつ
医療機関の看護体制も判断の基準になります。

完全看護の病院の場合は、原則として個別看護は認められていません。

弁護士基準では、入院1日当たり5,500円~7,000円、通院は3,000円~4,000円の範囲で請求可能になりますが、個別に具体的に請求された場合は、あらためて必要かつ妥当な範囲か否かを検討することになります。


これらの通常看護料を認定するには、原則として医師の「要看護証明」と「付添看護自認書」が必要になります。


ただし、証明書等が提出されたからといって保険会社が認めるとは限りません。


医療機関の状況や、傷害の程度から必要性や相当性が認められないと判断した場合は認定は出来ないことになります。

基本的には、余程の重篤でない限り認定される可能性はかなり低いと思って頂いてもいいかも知れません。

そして「要看護証明」ですが、完全看護の認定を受けている医療機関は相応の理由がなければ、証明書の作成にはかなり消極的です。


実態としては、放置に近い状態であるとしても完全看護を標榜しているのですから、作成しずらいのだと思います。


いずれにしても、通常看護の費用を認定する条件のハードルは現状かなり厳しい。


|義肢や眼鏡等や医療補助具等の費用とその他の想定する費用損害

事故により、義肢や義眼、補聴器、松葉つえ、歯科補綴、眼鏡等は医療補助として、妥当な実費が認められます。


なお、眼鏡の費用は5万円が上限となりますが、事故前に使用していた眼鏡と同等クラスと理解下さい。


仮に1万円の眼鏡が事故により損壊して、再調達した眼鏡が5万円の場合はいくら基準以内であってもは認定は不可ということです。


事故により破損した物品は眼鏡に限らず、保険会社の認定の確認作業が終わるまで保管して置くことが被害者にとっても必要です。


その他の費用として、診断書料や診療報酬明細書等、交通事故証明書や必要に応じて被害者の印鑑証明書、住民票の発行手数料がありますが、保険会社が一括対応(加害者請求)をしている場合は被害者に取り付けて下さいと依頼する場合もほとんど無いと思います。


必要になるとしたら、主婦休業損害の認定に家族を含めた住民票をお願いするくらいでしょう。

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