修正要素に該当して過失0%になる交差点内の事故は?

過失の基本的判断

|基本の過失割合が修正されて一方が0%になる車両同士の事故
過失割合が100%:0%の事故として、絶対的無過失の追突事故の他に赤信号で交差点に進入しての事故やセンターオーバーによる事故があります。


実はその他にも、過失割合が100%:0%と認定される様な事故があるのです。


それは、基本の過失割合が<90%:10%>や<80%:20%>位で認定される様な事故です。


過失90%の側に「著しい過失」など、修正要素に該当して10%以上の過失が加算された結果として100%になってしまう場合等です。


事故状況によっては、10%位は意外と容易に動く範囲の数字になります。

例えば、修正要素として最も使用される可能性があるのは「著しい過失」ですが、その他状況に合わせて「早回り右折」や「既右折」等による修正もあります。


基本の過失割合が90%の加害事故の形態はどの様な事故が有るのか?そして、10%の過失が加算される状況とは?を知っておいて損はない。

なお、損害保険会社のほぼ全社が、過失割合を認定するに際して「別冊判例タイムズ」を根拠や基準にしています。


交通事故の賠償交渉や協議の相手方は、主に保険会社になりますので「別冊判例タイムズ」を基準にすることで、より現実的な考察になるでしょう。

実務的には、修正要素の適用によって過失90%の側に、10%が加算修正された結果として過失小の側が過失0%になる場合は、「片賠」という特例の示談になる可能性が最も高くなるケースでもあります。

通常であれば、被害側にも10%程度の過失が生じる事故を起こしながらも、過失大の側に過失が加算されて過失が小さい側にしてみたら、特段過失が減じられる様な行動を取っていないのに修正されて無過失になっていた!


追突された場合等と同様に無過失として、全額を賠償するには保険会社としては抵抗感が強い事案になります!

そこで、通常の無過失事故とは異なる賠償といえる「片賠」や修理期間の代車なし等、実務的に公平感の得られる示談内容を検討することになります。

過失割合が90%:10%が認定されるであろう交差点内での代表的な事故状況は次の通りです。

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|1|信号機がない四差路交差点で一方に一時停止の標識がある事故
優先車両(A)が減速して交差点に進入した際に、右方や左方の一停標識がある側の劣後車両(B)が減速をしないで交差点に進入して起きた事故の場合です。

過失の基本割合は<優先車両(A)10%:90%劣後車(B)>になります。

見通しがきかない、あるいは見通しの悪い交差点に進入する車両に対しては、徐行義務が課せられています。(法41条1号)


見通しが良ければ基本的に事故は起きないことを前提にして、(A)は減速したが徐行はしていないので徐行義務違反で10%の過失と(B)の標識による一時停止義務違反の対比によって設定された過失割合になります。

この基準は、一方に一時停止の規制がある場合は、道路の幅員が広路と狭路になっている場合も当然ですが、同幅員であっても適用される基準になります。

一停標識の無い、広路と狭路の交差点の場合<減速した広路側20%:80%減速しない狭路側>や、同幅員の道路で<減速した左方側20%:80%減速しない右方側>の特例基準です。

なお、同幅員の道路での出合い頭事故の過失割合は、双方の車両が同速度の場合は左方優先で<左方車40%:60%右方車>になります。

過失割合を認定する際に修正要素である「減速」とは、基本的には当該道路の制限速度より明らかに減速していることを言いますが、実務的には20km位まで速度が落ちていることが立証されたら減速したと認める状況になるでしょう。


仮に、優先車両が「減速」より更に「徐行」して交差点に進入したが、劣後車が減速もしなかった場合は優先車両側の過失は0%になる様に「判例タイムズ」では修正可能としています。

実際には、劣後車両が一停標識のある道路から減速しないで交差点に進入した場合とは、標識の完全な見落としか、未必の故意に近い状況であるとしか思えないかも知れません。

更に車両の損壊状況によっては、スピード超過の可能性も検討しなければなりません。

一停標識によって規制されている劣後車側には、見通しの悪い交差点の徐行義務も履行されていないことにもなります。


そして、一停標識を見落とした原因として携帯電話による通話や操作は無かったのか?等、何らかの「注意義務違反」が認められた場合は、「著しい過失」が適用されて10%が加算されるのが妥当と判断されるでしょう!


一時停止標識の完全な見落としだけでも「著しい過失」を主張することが可能になるでしょう。


結果として、規制がない優先車両側の過失は0%になるということになります。

仮に、一停標識がある劣後車側の保険会社なら「優先車両側は、減速や徐行した事により予見性の義務は果たしたかも知れないが、事故を回避する義務は果たせなかった事になるので、事故が発生した事で10%の過失は生じるのが妥当」等の様な主張をすることになるかとは思います。

|2|信号機のない四差路の交差点で直進車両同士の出合い頭事故

一停標識のない狭路側の劣後車両(B)が、優先道路を横切る状況で交差点に進入した際に優先道路を走行してきた車両(A)と衝突した事故の場合です。

劣後車両(B)は、優先道路走行車両(A)に対して、右方側なのか左方側どちらから出てきたのかは問わない。


基本の過失割合は<優先道路通行車両(A)10%:90%劣後車(B)>になります。

一般的に、優先道路は道路標識により優先道路として指定されている場合や、交差点において劣後車両の通行を規制する道路標識、中央線又は車両通行帯が設けられている様な道路をいいます。(法36条2項)

具体的な優先道路は地域によって様々な形態があります。


幹線道路として周知されている道路もあれば、単に中央線が引かれている他は非優先道路と大差がない道路もあります。


幹線として認知されている道路や、片側2車線以上ある道路、中央分離帯が設置されている道路など優先性が明らかな道路以外であっても、例えば一時停止の規制が設けられている交差点がある道路も優先道路の基準に準じて認定されて良いと解されています。

また、一方の広路が幹線道路で他方の狭路が路地と認められる様な場合など、広路の優先性が顕著な場合も本基準に準じて判断することを認めています。

優先道路の通行車両は、見通しがきかない交差点を通行する場合においても徐行義務はありませんが、法36条4項による「できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない」という注意義務は依然として要求されています。

事故が起きた場合においては、優先車にも前方不注視や若干の速度違反など何らかの過失が肯定されることが多い事もあり、事故が起きた事実から予見性と回避義務違反を認めて10%程度の過失は生じるものと判断されています。


正に「動いているので過失は0%にはならない」ということになるのかも知れません。

一方で、劣後車側は著しい前方不注視、ブレーキやハンドルの操作不適切、少しのスピード超過、携帯電話の操作などが有れば「著しい過失」が認定される事となります。


結果として、劣後車に「著しい過失」などが認定されて過失が10%加算されるので、優先道路側の車両は過失割合0%に修正されることになります。

劣後車が交差点に進入する際には、優先道路を走行している車両の状況を確認するための停止や、減速や徐行をして様子を見るのが普通です。


そこから、道路を横切る事が出来ると判断して、アクセルを踏んで交差点に進入することになります。


しかし、停止状態やスピードが一度落ちた状態からアクセルを踏んでも、車のスピードが上がらない状態で交差点に進入する事になり、想定や目測誤りで事故になるケースがあります。

アクセルを踏んでいる分スピードが上がりかけた中途半端な状態で衝突した場合は、路面にブレーキ痕は付かないケースが多く、小規模な損害といえない状態では劣後車の速度超過も疑わざるを得ず、それだけでも10%の加算は有り得るのです。


劣後車の速度超過による加算修正だけでも、優先車両の過失は0%になる可能性は高くなります。


|3|信号機によって規制されている交差点で右折車両と直進車両が事故
設定の詳細は、信号機が設置されている交差点内で右折予定の車両(A)が青信号で交差点に進入した後、赤信号に変わった直後に右折した際、赤信号で交差点に進入してきた直進車(B)と衝突した場合の事故です。

基本の過失割合は<赤信号直進車(B)90%:10%右折待機後赤信号で右折車(A)>になります。

右折予定の車両にしてみたら、右折用の青矢印信号が設置されていない交差点においては、赤信号になった段階で右折開始をしている実情から、赤信号になって交差点に進入して来た直進車両に対して90%の過失認定は納得できる割合かも知れません。

赤信号の状況で交差点に進入する直進車両が、法定速度の範囲内や減速して進入して来るはずは無い!のが一般的です。

この事故形態のほとんどは、直進車両の速度超過が認められます。


15km以上の速度違反で5%、30km以上の速度違反で10%が加算修正されます。


「著しい過失」が認められた場合は更に5%が加算されるのですが、実務的には速度超過以外の脇見運転や著しい前方不注視、ハンドルやブレーキ操作の不適切等を適用させるには、根拠が証明できず想定の域から出ないことで適用は無理!と判断する事が多い。

30km以上には及ばない速度違反のみが認められた場合は<赤信号直進車(B)95%:5%右折待機後赤信号で右折車(A)>となり、0%にならない可能性がある事故形態になります。


|4|狭路等から右折で優先道路に合流する際に優先道路を直進して来た車両との事故

信号機がない交差点において、脇道など非優先道路から優先道路に右折で合流しようとする(B)車と、優先道路を走行して来た(A)車と衝突した場合です。

劣後車(B)から見た場合、優先道路走行の(A)車は右方から走行して来たのか、左方から走行して来たのかを問いません。

基本の過失割合は<優先道路直進車(A)10%:90%非優先道路から右折で優先道路に出る(B)車>になります。


優先道路を走行して来た車両には、交差点で徐行しなければならない義務はありません。

劣後車(B)に、「徐行なし」や「右折禁止違反」「早回り右折」等の修正項目に該当する場合には10%加算修正されることになります。


また、「著しい過失」の項目として注視するのはやはり速度違反で、徐行が無いことで15km程度の速度超過は簡単に起きてしまう。


この場合も「著しい過失」として劣後車に10%加算されるので、先の修正項目のいずれかに該当すると、優先道路走行車両の過失は0%に修正されるということになります。


|5|優先の直進車両と狭路の左方から左折により優先道路に合流する車両との事故

信号機のない交差点の非優先道路左方から、左折して優先道路に合流しようとする劣後車(B)と優先道路を直進してきた車両(A)と事故が起きた場合です。

事故の状況は|4|の劣後車が右折して優先道路に合流する場合の、左折バージョンです。

基本の過失割合は<優先道路直進車(A)10%:90%左方から左折で優先道路に合流する劣後車(B)>になります。

見通しの悪い交差点で、優先道路を直進する車両の左方の狭路や路地から、車両が交差点に進入して来た場合の回避行動や、時間的かつ空間的猶予は制限される状況になります。


右方から右折の場合は、片側一車線分の余裕があるのは大きいです。


形式的には、劣後車のボンネットが出る位に前進しなければ、優先道路の右方車が見えないなら交差点の手前で停止させて降車して確認すること!と事故現場で警察官から進言されたケースもあります。

実際には、降車して確認しても再び乗車する時間の経過で交通状況が変わるので現実的な方法ではありませんが、その位に劣後車には注意義務が課せられるということです。


事故が起きた場合、劣後車側には右方の確認方法なども問題とされますが、ここでも徐行義務に絡んだ操作方法不適切や注意義務違反など何らかの過失が認められる場合も多く、結果として10%が加算修正される可能性も高くなります。


但し、優先道路を走行してきた車両側は、左方からボンネットの先が見えた段階で、右折ウインカーは点滅していないのだから、道路を横切るように直進するか?それとも左折するのか劣後車の動きが少し限定され分、劣後車より早く回避行動を起こせる可能性はあるかも知れません。

その予見性と回避の行動は、事故発生の状況によってどの様に評価されるかは、やはり個別に検討することになるのでしょう。

|6|T字路交差点で直進車と右左折車両との衝突事故の場合
信号機がないT字路交差点を直進する優先車(A)と、突き当たりを右折や左折する劣後車(B)と衝突事故が起きた場合です。


基本の過失割合は<優先道路直進車(A)10%:90%劣後右左折車(B)>になります。


基本的な考え方は、事故形態|2||4||5|のT字路バージョンとなります。

修正要素もほぼ同様ですが、劣後車(B)にとって対向車両は存在しないため優先道路の右方と左方に注意が限定できるので、修正要素の適用も他の道路状況での事故より厳しい判断になります。

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