|追突された事故は無過失!法24条の違反が有る場合は?
基本の過失割合が100%:0%になる事故のひとつに追突事故があります。
追突事故とは、同一車線上での事故であり車線変更した際に後続の車両に衝突された場合は、別の事故類型になり追突事故にはなりません。
追突事故の場合、基本的には追突された車には過失が無く、追突した車の「前方不注視(法70条)」や「車間距離不保持(法26条)」等による一方的な過失によるものです。
赤信号や、一時停止の規定に従って停止した車両や渋滞等の理由で停止した車両に追突した場合、被追突車の基本の過失割合は0%ということになります。
しかし、追突された車にも過失が生じると判断される事があります。
それが、「道交法24条違反」があったと認定された場合です。
法24条は「車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない」と規定しています。
「別冊判例タイムズ」においても、理由のない急ブレーキをかけたために事故が発生した場合にのみ過失が認定されると、かなり限定的な適用になっています。
通常の追突事故での適用ではなく!かなり特異な事例と判断されることになります。
要は「被追突車(追突された車)の過失は0%です!法24条違反のブレーキがあった場合には、過失割合として30%は責任が生じます」ということです。
しかし、いくら特異な事故としても過失割合30%の数字は、追突された場合の過失0%を基準にすると高すぎる過失認定かも知れません。
一般的な事故の「重過失」が認められた場合でも20%の修正をする事と比較しても、やはり高すぎませんか?と言えるでしょう。
更に「幹線道路上で停止」することの危険性を考慮した修正は理解できるとしても、更に「著しい過失」として10%や、「重過失」20%が加算されると「判例タイムズ」では判断していますが、加算される状況として他にどの様なケースがあるのか不明です。
「理由の無いブレーキ操作」以上に危険な運転に対して適用されるということですが、実務上で適用させる場合を想定するのは非常に難しい。
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|法24条違反の車両が追突された場合の過失30%は妥当?!
法24条違反のブレーキ操作で事故が起きた場合、追突された車に30%の過失が認定されるのですが、追突された車に法24条違反に至らないレベルの不必要なブレーキ操作等が有る場合にも、被追突車に過失が生じるものと考えられています。
「判例タイムズ」ではその過失割合は20%程度が相当!と判断されています。
追突された車両が、法24条違反ブレーキをかけたために30%の過失が生じて更に前方不注視や、ハンドルやブレーキ操作不適切、携帯電話を使用した等で「著しい過失」適用の可能性を残す内容になっています。
仮に、携帯電話を操作していた時に追突された場合ですが、携帯電話の操作と追突された事と因果関係はないとの判断や主張も可能とは思います。
「法24条違反に至らない程度のブレーキ・・」というのは、ある程度距離がある先で人が飛び出してきた場合等がイメージされると思います。
例えば、住宅街や商店街の少し先の見通しが悪い路地からいきなり子供が飛び出て来た場合は、急ブレーキが必要ということに問題は無いはずです。
その飛び出しがもっと距離がある先の方だったら、「法24条違反に至らない程度・・」と言えるブレーキが必要だったのか?という疑問から、被追突車にも過失は生じるのではないかという考え方がスタートになっています。
しかし、運転技術や技量は年齢や経験等による個人差がありますし、距離的に余裕があるにも関わらず・・・との判断にも個人差があります。
「急」と名の付くブレーキを踏んだ状況が正しかったのか否かは常識の範囲として判断するしかありません!と考えを積み上げて行くと、「理由のない急ブレーキ」とは故意以外には無いということになるのかも・・。
しかし、仮に故意でブレーキをかけたとしても追突された側のブレーキ不適切を問題視する以上に、追突した後続の車両に対して車間距離不保持等による責任が追及されるべきでしょう。
法24条違反とまでは行かないにしても、過剰な反応で後続車に追突させた的な論理で被追突車にも過失を認定している判決も稀にはありますが、主流ではありません。
それでは、子供が飛び出して来ると見誤ったために、結果的に理由のない急ブレーキをかけた場合はどうでしょうか?
「判例タイムズ」など一般的には、住宅地や商店街などの歩行者の多い場所では前方の先行車両が急ブレーキや急な減速をする可能性があることを後続車両も十分に予測可能になるので、住宅地や商店街など人通りの多い場所で追突した場合は、追突車に10%を加算修正すると判断しています。
「理由のないブレーキ」や「不確実なブレーキ操作」があったとしても、追突された側の車両は10%減算修正されるということです。
人通りが多いことが理由としている修正なので、住宅地や商店街であっても深夜などで人通りが少ない時間帯の場合は修正適用外という事になります。
どんな状況であろうと「急」と名の付くブレーキをかけた場合は、追突された車に過失が生じることを前提にして過失を判断されていることには変わりありません。
実務的に追突した側が、「法24条違反に至らない程度であっても、急ブレーキをかけたことが原因」と主張された場合、追突された側は争うことになるでしょう。
|不必要や不確実な急ブレーキについて
一般的に理解しにくいのが「急ブレーキの不必要、不確実な操作等・・」に関してです。
法の解釈からいえば、例えばブレーキとアクセル操作を繰り返す行為等がこの規定に該当する・・らしいのですが、現実的には前方にこの様な運転をしている車両がいたとしたら、接近はしないでしょう?!
よって、事故は起きない可能性が大きい!法の意図するところが不明と思える文言のひとつかも・・?
実務上でも、この規定に該当する様な事故が報告された記憶がありません。
|山間部などの山道での法24条違反ブレーキ
住宅地や商店街ではない、山間部の山道を走行した際に、車両の前方に動物が飛び出してきた場合などのブレーキは、「危険を防止するためやむを得ない場合」なのか?「理由のない急ブレーキ」に該当するのか?
理屈上?理論上?では、飛び出して来た動物の種類等によって判断が変わるといわれています。
例えば、山道で「鹿」などの大型動物が飛び出して来た場合は、危険を防止するためのやむを得ない状況に該当するとされていますが、その一方で「鳥」や「兎」などの小動物が飛び出して来た場合は、理由のない急ブレーキに該当する可能性が高いと判断されている様です。
その理由として相応の速度で走行している時に、大型動物と衝突した場合の衝撃は大きく車両の損傷はもちろんですが、車両運転者や同乗者が負傷してしまう可能性が高いから。
「鳥」や「兎」などの小動物が飛び出して来た場合は、仮に衝突したとしても安全上の問題はないというのが判断基準にある様です。
実務的には、「理由のない急ブレーキ」と判断されるか否かは、具体的かつ個別的に判断することになりますが、小型動物との衝突を避けるためのブレーキは「理由の無い急ブレーキ」 として判断される割合が高くなるということになります。
山道を走行した場合を想定してみると・・どうでしょうか?
山道を走行中に飛び出して来た動物の大きさを瞬時に見分けて、衝突したら大変とか小さい動物だから撥ねても大丈夫と頭の中で判断して、ブレーキ操作を行うのは難しいかも知れません。
動物でも鳥でも、急に飛び出てきたら、無意識にそして咄嗟に避譲措置を取るのが普通と思うからです。
車も壊したくない、車の運転者は当然ですが同乗者もケガをさせたくない、飛び出て来た動物が小動物であったとしても撥ねて生命を奪いたくない!と、思うのが極めて常識的な認識です。
例え山間部の山道であっても、同一の車線上を走行している先行車両等の直後を進行するときは、先行車両が急停止したときにおいても、追突するのを避けることができる必要な車間距離を保たなければならないのです。
やはりここでも、総じて急ブレーキの正当性を検証する以上に、追突した後続車両の「前方不注視」や「車間距離不保持」等の責任が追及されるべきなのです。
もし、山間部や山道で追突された事故が起きて、法24条違反ブレーキにより過失を問われる状況が起きたとした場合は無過失の主張は当然の反応になるでしょう。
|法24条違反の認定が可能な幹線道路や高速道路上の追突
被追突車が幹線道路の走行車線上の停止をした、あるいは不要や理由のない急ブレーキをかけた事等が原因で後続車両が追突した場合は、後続車両の過失割合が10%減算修正されます。
幹線道路とは道路状況や交通事情等常識的に判断されますが、概ね歩車道の区別があって片側2車線以上の比較的高速で車両が走行し、交通量が多い道路を想定しています。
幹線道路と判断できる様な道路状況での事故の場合、後続車両は先行車両が流れに従って走行するのが通常であり、後続車もそれをある程度信頼して運転しているため急ブレーキへの対応が遅れがちであることから、後続車両の過失割合を減じる認定となる可能性は高くなります。
この、幹線道路や高速道路上での「理由の無いブレーキ」や「急ブレーキ」をかける危険性を想定しますと、唯一「法24条違反」の想定が納得できる範囲と思えるのです。
その他、追突車両の速度違反等は加算修正されますし、前走車両に「著しい過失」や「重過失」がある場合には、後続車両の過失が修正され10%ないし、20%減算されます。
この修正も理解できる範囲と思います。
結論として、幹線道路や高速道路上においても追突された事故は無過失が基本です。
理由のないブレーキや不必要不確実なブレーキをかけたことで追突事故が起きたとしても、追突した車両側がその事実を主張や立証する以前に、車間距離不保持や前方不注視による一方的な過失と認められるのが原則といえるでしょう。