|交通事故の現場での対応はどうしたらいいのか?
事故現場で当事者はどの様に対応したらいいのか?
事故が起きたら、ケガの有無を確認して・・二次災害が起きない様に安全な場所に車を移動させて・・等、基本的な対応に関する情報は行きわたっていると思うのですが、知識と同様に重要なのが心構えなのです。
事故は単独でなければ相手がいるのです。
つまり、事故現場では事故当事者双方が会話によって情報収集をする状況になります。
事故直後に本当に必要な知識とは、相手の主張や特性に合わせたやり取りに関する心構えにあると思っています。
特に重要なのが事故現場でやってはいけない事!?がとても重要だということです。
基本的な知識は当然ですが、同様に心構えも意識しておかなければ万が一という時に対応や行動に迷いが出てしまいます。
基本的な知識や心構えは頭の片隅にでも置いておくことが大切になります。
|ほとんどの交通事故は気が付いた時には起きていた!
ガッシャ~ン!と事故が起きた時は「あ~っ」と声が出る間もなく、気が付いた時には起きていた!とういうのが実感の様です。
気が動転して、頭の中が真っ白状態になってしまうのも普通です。
万が一に事故が起きた場合、冷静に対応するためには普段から心構えと知識の整理をしておきましょう。
交通事故は、追突された!など一方が100%の過失(事故の責任)がある事故形態は意外と少なく、事故の当事者双方に何らかの過失責任が生じる場合の方が圧倒的に多いのです。
過失が大きい加害事故でも、過失が小さい被害事故でも事故現場での基本的な対応は、ほぼ同じと思って下さい。
交通事故が起きた直後は、どちらが過失の大きい加害者側なのか、あるいは即座に判断が付かない場合も少なくありません。
|推奨する事故現場での対応とは?
事故直後には「最初に謝ってはいけない、先に謝った方が加害者側と認めたことになる」等とまことしやかに言われている状況もある様です。
そんな噂話が信じられている事を知った場合であっても、事故が起きて最初の第一声は過失割合の大小に関係なく、相手側に「ごめんなさい、ケガは大丈夫ですか?」がやはり最良と思います!
謝罪したことによって加害者側になることや過失が大きいことを認めた!にはなりませんし、全額賠償しなければならない!という事にもなりません。
自分にもあるかも知れない過失分に対して、道義的責任を果たしている範囲と認識頂いて良いのです。
それでも、やはり「謝罪した方が、加害者側であるのを認めた」など誤った認識を持っているか、今後の賠償交渉を有利に進めるための理由として使えるかも知れないと、期待する人はいる様です。
事故現場での相手の言動などで、その可能性があるかも・・と感じたら、保険会社に事故報告を入れる際に「道義的な範囲で自分にも過失があるかも知れないので謝罪はしましたが、相手は勘違いして過失の無い被害者側と思っているかも知れない」と可能性として伝えてもらえれば十分です。
結果的に、過失割合が大きい加害者側だった場合は、事故現場で謝罪等の道義的責任は一次的に果たしておいたことになるでしょうし、被害側になった場合でも誠意を尽くしたとの主張も交渉過程ではプラスに働くことはあってもマイナスに働くことはありません。
担当者はその情報を念頭に置いて、相手方に対しての対応や交渉の方策を検討することできます。
|事故現場で実施する手続き等について注意はある?!
交通事故にあった時の対応手順については、最初に双方のケガの有無や状態を確認し警察に連絡等々・・常識的な範囲で知っていると思われる知識で十分です。
免許証などで相手の名前や住所、電話番号等の連絡先、車載の証券で任意保険会社を確認、相手方の情報を含めて自分が加入している保険会社に事故報告を入れて下さい。
また、運転者と所有者が違う場合も多いので、可能であれば「車検証」で所有者の確認もしてもらえれば最良でしょう。
その後の対応は警察と保険会社の指示に従って下さい。
少し対応の方法や手順に不安がある方は、任意の自動車保険証券の後ろの方に「もしも事故に遭ったら・・」等の項目で、交通事故が起きた時の対応手順や注意点が記載されていますので、時間がある時にでも目を通してもらえれば容易に確認できると思います。
少し老婆心ながら、注意をして頂きたいことが有ります。
警察が事故現場に到着して、事故状況などの検証が行なわれる事になるのですが、過失など事故の責任を少しでも小さくしたい思いからか質問されてもいないことまで話してしまう、また相手の動向や事故状況など見ていない部分を想像で、つい証言してしまう場合も多い様です。
特に、人身事故になった場合は「実況見分調書」が作成されます。
曖昧な記憶で証言した場合でも、そのまま記録されて後日の訂正はほとんど困難になります。
明確に覚えていることや、見た状況のままを証言する事が大切です。
後に証言の一部が違っていた事などが判明した場合は、他の証言に関しても信憑性が疑われる事になりかねません。
事故の相手方が証言した内容は、必ずもう一方の相手方に事実か否かの確認を取っています。
警察が作成した調書をしっかり確認し、事実と違う場合は明確に伝えることや、自分の証言が的確に伝わっているか?誤りは無いか?の確認も重要になります。
|交通事故の現場での約束は厳禁です!
重要なのは、交通事故の現場でやってはいけない事を知って欲しい。
「やってはいけない事」を知らなかった事で、後日賠償交渉が難航するなどトラブルの原因になりやすい!からです。
事故現場でやってはいけない事とは・・、基本的には1点!と基本から派生したプラスおまけの2点!
|数字が絡む約束は絶対にしない!
基本的な1点目は、数字に関しての約束はしないことです。
例えば、当事者間で「過失割合の数字」を決める。
全額自己負担して支払う積りなら当事者間で決めてもらっても良いのですが・・これは、保険会社が未承認の示談になるので、保険金が一部及び全額支払われない可能性が出てきます。
まして、示談書や念書などを作成し、双方で署名捺印し合うことは厳禁です。
真偽の程は定かではありませんが、ある全国区のトラック運送会社では、全車両に便箋や朱肉を用意させており、事故が起きた時にその場で気が動転している一般の運転者相手に、全額賠償の念書を書かせる様に指導していると聞いたことがあります。
偶然にも、実際に便箋に書かれた念書の現物を数回見たことがあります。
後日、撤回の交渉を行って頂くことになるのですが、保険会社は現場で示談をした事故当事者ではないので、アドバイスや支援は可能ですが代わって撤回の交渉はしません。
仮に保険会社が申し出たところで、現場で示談をした当事者では無いので保険会社との交渉は拒否されるのが普通です。
また、示談ほど重くはありませんが、例えば何日の何時頃に謝罪に伺うとか、何時に保険会社から連絡を入れさせます等の「日程や時間」の約束も、過失割合や賠償額に関する示談を含めてこれも数字が絡む約束になります。
事故現場で約束する「数字」はトラブルの原因になりやすいことを認識いただきたい。
|事故現場で金銭の授受は絶対に行わない!
おまけの1点目です。
交通事故の現場では、加害者側の誠意であったり、お見舞金の名目であってもお金を渡したり受け取ったりは、絶対にやってはいけません。
加害者側にしてみたら被害者に謝罪の意味合いや、お見舞金としてお金を渡したいという思いもある様です。
しかし、事故現場で手渡す金額がいくらであっても、逆効果になる可能性が高いのです。
しかも現金を手渡すタイミングが、警察が到着する前となると思惑を勘ぐられる、または加害者と認めた等の弱みとして見られることにもなります。
金額によっては、「誠意や謝罪の気持ちがこの程度の金額か?」と思われたり、「強く言えばまだ金額が吊り上るかも・・」などと思われたりする場合の方が多いのです。
仮に、加害者としては示談金の一部のつもりで支払った認識でいたとしても、被害者の認識と違っている場合は示談金の一部としての役割は果たせておらず、最終的には相殺されずに全額損害賠償請求をされてしまう事も起きています。
加害者が事前に被害者にお金を支払ったからといって、保険金から支払った金額が差し引かれることはほとんど有りません。
加害者が負担した金額が、効果的に受け取られることはない!と思って頂いて良いでしょう。
|悪魔の囁きに惑わされない!
おまけの2点目です。
交通事故の相手方から、「全部賠償する、代車費用も負担します」「請求や要求は全て受け入れるので、警察への届け出はしないで欲しい!」など、悪魔の囁きとも言える様な申し出をされるケースもあります。
その上に泣きも入って、「免停中なので・・」とか「今、少し酒が入っている。知られると会社がクビになる」「プロドライバーなので免許証が無くなると死活問題」など、ついつい耳を傾けてしまうと断るのが大変になってきます。
相手のペースに合わせて泣き言などを聞くだけ聞いてしまうと、断りが困難になってきます。
意を決っして最後に頑張って断りを入れると、程度の差は有っても大抵は逆切れや怒りに変わることにもなります。
トラブルの原因を増やすことになり、そうなってからの対応は大変になりますので、早めにきちんと正当な手続きで進める意思表示をすることが肝要です。
今、この記事を読んで頂いている諸兄は、「事故にあっても、そんな要求には絶対に応じない自信がある!」と一笑に付していると思います。
しかし、保険会社が間に入って正規の対応をされた場合は、過失が認定されて保険金を支払う事を含めて金銭的な負担があるかも知れない・・という様な事故状況の場合は、相手の申し出に多くのユーザーは気持ちが揺れるそうです。
毎年、数件はトラブルになってからの事案報告と相談が出てきます。
免停中にも関わらず車を運転する、または飲酒して運転する様な社会との約束やルールを守らない人が、個人間での金銭が絡んだ約束を守るわけがないのです。
一カ月位経過してから、相手が約束を守ってくれない事で、車を修理した費用の回収や保険を使用するための相談や報告が舞い込んで来ます。
しかし、警察に届けていないので事故が起きた証明も無く、保険で対応できる事故なのかも不明なので、結論から言うと保険金の支払いはほとんどの事例で無理です。
車両保険の付保の内容によっては、保険会社は極力対応する様に努力はすると思いますが、結論が出るまでや認定まで相応の時間を要した結果、やはり支払は不可と結論を出さざるを得ない場合が多いのです。
仮に、相手が念書らしき書類を書いてくれたとしても、事故があったという公の証明にはなりませんし、約束を履行する気持ちが無ければ、ただの紙切れでしかありません。
事故にあったら、警察に届けて適正かつ的確な対応をするのがやはり最良ということになります。
|交通事故の対応は厳格かつ正当な手順で!
交通事故の対応に慣れた方や、自動車関連の仕事をされている方など、事故対応についての知識を持っている人が事故の相手方の場合もあります。
例えば、車線変更して接触した場合、明らかに変更してきたのは相手方なのに、こちらが寄って来た様に事故状況が違う内容で上手に警察官に申告した加害者もいました。
また、被害者相手がケガをした様な状態を推察して人身事故扱いにしない様に、事故現場で数万円を掴まされた事例もありました。
後日、数万円を脅し取られた状況に変わっていましたが・・。
相手の出方や特性によって対応を変えるのではなく、正当な手順と毅然とした態度が基本的には余計なトラブルの回避に繋がり、示談交渉もスムースに進捗する場合が多いのです。
警察への報告と正当な対応をするのが、結局は賠償上の協議など問題なく進めるための最低条件になることを、頭の片隅にでも記憶しておいて欲しい!・・と思います。