|交通事故の加害者が負う4つの責任
ガッシャ~ン!と交通事故が起きると、加害者は一般的には3つの責任を負うと言われていますが、保険会社の担当者としては4つ目の責任として「道義的(社会的)責任」も上げさせてもらいたいと思うのです。
|3つの責任と道義的責任
[1]刑事上の責任
道路交通法違反等の罪を犯したとして懲役刑や禁固刑、罰金に処せられることです。
[2]行政上の責任
運転免許証の停止や取り消し処分を受けることです。
[3]民事賠償の責任
被害者に与えた損害を賠償することです。
[4]道義的(社会的)責任
謝罪や見舞い等、社会の一員として負う心的かつ儀礼的な部分を含む責任で、加害者として被害者に対しての誠意を示す!事と言った方が分かりやすいかも知れません。
保険会社は、4つの責任のうち3番目の「民事賠償の責任」を加害者に代わって、被害者に補償することになります。
示談案を提示する段階や協議の過程で、4番目の道義的責任が聞き慣れた「誠意」という言葉に置き換わって、示談交渉が難航する場合も少なくありません。
「加害者は事故当初に挨拶に来たきりで、後は保険会社任せ!加害者として誠意がない。その分を賠償金として上乗せして欲しい」等々・・。
「全て保険金で支払われて、加害者の負担が無いのは心情的に納得できない。誠意が無かった分、自腹を切った負担があって当然」との主張をされる被害者もいます。
誤解されている場合が多いのですが、損害賠償金は保険会社が加害者の代わりに支払うことになるので、加害者が支払っているのと形の上では同じなのです。
保険料を定期的かつ継続的に支払って来たことで、加害者自身が負担して支払っているとの認識も社会的に浸透してきましたが、感情的にも納得されない当事者もまだいます。
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|加害事故を起こした場合の道義的な対応について
車の修理が完了した、或いはケガが治った・・等で損害が確定する前に、加害者側が適宜電話などで「おケガの状態はいかがですか?」
他にも「お車の修理が完了したと保険会社から連絡もらって、安堵しました」等の連絡を入れて、道義的責任を果たしていれば、被害者側の「誠意が無かった・・賠償金を上乗せして欲しい」という主張は、示談金額を増額するための理由としては使えないことになります。
ほんの一部の被害者の中には、示談金の増額要求するための理由が減るので、加害者の誠意を敢えて無視や受け付けない被害者もいます。
加害者側の道義的な対応を認めない、受け付けないのはある意味では被害者の自由ですが、加害者が誠意を示さなかったから示談金の増額を・・は、交渉では使えなくなるのは当然のことになります。
訴訟等においても、加害者の誠意がないことを根拠にして慰謝料が増額された判決を知りません。
一部に、人格の否定や加害者の暴言などが脅迫の一部と看做され、被害者が心情的にも肉体的にも苦痛や心労が増したとして、慰謝料が加算された判決はあります。
しかし、単に謝罪が無い!や誠意が感じられない!レベルでは慰謝料の増額要求は認められないのが一般的です。
加害者が道義的責任を果たすことで、損保担当者は「加害者が支払わなければならない賠償金は保険会社が代わって支払います」「保険会社が支払えないものは加害者本人も支払いの義務はありません」「加害者はお詫び等、きちんと連絡を差し上げています」「誠意とは本来そういうものです、賠償金に根拠がなく加算は出来ません」等の交渉が可能になるのです。
損保担当者は加害者(保険契約者)に、定期的な被害者側への連絡をお願いするのは、示談成立に向けて迅速かつ円満に進めるためもありますが、それ以上に加害者として社会通念上当然の行為と思っているからです。
加害者の中には、「全て保険会社に任せている。そのための保険!」と言われる人も稀にいます。
しかし、保険会社は加害者に代わって被害者に謝罪する立場にはないこと、根拠ある妥当な賠償金を算出して、被害者に支払う民事賠償の責任範囲を果たすことのみの責任を負うことを理解頂く様に説明しています。
つまり、誠意や謝罪などの「道義的責任」は事故の加害者や事故当事者が、社会の一員として負わなければならない責任ということです。
保険会社だけではなく、たとえ弁護士に依頼したとしても、社会的儀礼は尽くしますが加害者の代わりに謝罪などはしません。
被害者側にしても、加害者ではない保険会社や代理人の弁護士から謝罪されても、納得感はありません。
なお、被害者への謝罪訪問や、途中の定期的な連絡などやその頻度等については、被害者の感情的な状態やケガの症状などを確認しながら、被害者の特性も考慮しなければならない場合もありますので、個別に担当者と協議しながら実行することにはなります。
|道義的責任(誠意)示す期間はいつまでか?
それでは、謝罪のための訪問や電話連絡など、加害者が負う「道義的責任」はいつまで継続させるのが妥当なのでしょうか?
民事賠償は損害が確定されて賠償金が支払われた時、刑事上や行政上の責任は刑罰や処分が確定した時点、罰金を支払った!や刑罰を履行し終わった!確定した処分の期日が明けた!や満了した事で終わるという見解もあります。
公的な処罰や責任なので、理論上ではどちらでも大きく影響はないと思われますが、心的な意味合いも持つ「道義的責任」はいつまで続くのか?と損保担当者が質問された場合、担当者によって意見や判断が分かれることがあります。
物損害の場合は、事故で損壊した車の修理が完了した時点が最も多く、次に示談が成立して示談書を取り交わした時点となります。
中には、車の損害額(修理費用や時価額)が確定した段階・・とういう意見もありますが少数です。
ケガなどの場合は、更に意見や見解が分かれます。
ケガが治った場合や、症状が固定した時点という見方が主流になる様ですが・・、中には治療中止の場合を含めて損害としての治療費が確定した段階!という細かい判断をする担当者もいます。
示談書に署名押印されて示談が成立した時点!そして賠償案の積算が可能になった段階!という意見などもあります。
最も説明が付きやすい範囲としては、物損害の場合は「事故で壊れた自動車の修理が完了した時点」で、人身損害の場合は、「ケガが完治するか、症状固定になって治療が終了した時点」が道義的責任を果たす終期かと思います。
損害額を確定させるや、示談書の取り交わし等の示談成立は保険会社が主体に進める事になるので、道義的な責任ではなく民事賠償の責任の範ちゅうとの判断もできるでしょう。
事故当初の謝罪だけが、道義的な責任の範囲ではない!ということは理解頂けたと思います。
交通事故の解決は示談が成立した時であることは間違いありません。
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