|「人」が契約の対象となる自動車保険
「少しの時間で、短い距離だから大丈夫!」などと、無保険の状態で他人の車を運転するのは極めて危険な行為です。
「知人の車を借りる必要が起きた」とか「帰省先で兄弟が所有する車を運転することになった」など必要に応じて、1日だけ或いは短期間だけ加入することができるのが、「ドライバー保険」や「1日自動車保険」という自動車保険です。
一般的な自動車保険は自動車一台ごとに加入する保険ですが、「ドライバー保険」や「1日自動車保険」は人を対象として加入できる保険ということになります。
|ドライバー保険の概略を知る!
運転免許を持っていると車を運転したいと思う時もありますし、他人の車を一時的に運転する機会も出てくるでしょう。
運転する機会が増えると、それに比例して交通事故にあう確率も高くなります。
自分の自動車を持っている人は、任意保険に加入しているので万が一他人の自動車を運転して事故にあっても自動付帯の「他者運転特約」を適用させて、損害の填補が可能になります。
しかし、「他者運転特約」は自分の車を持っていて自動車保険に加入していることが前提にあります。
自分の車を持っていない人は、自動車保険に加入していない事になるので「他車運転特約」も使えません。
つまり、「ドライバー保険」とは、自分の車を持っていないために自動車保険に加入する事ができない人が、他人の車を運転して事故が起きた時に補償する保険なのです。
他人の車を運転する頻度が高いという人には必要な保険だということになります!
知人や友人から借りた車を運転して事故を起こした場合でも、「ドライバー保険」に加入している事によって保険で補償を受けることができるので、車の持ち主が加入している任意保険を使用しなくても対応できるのは大きい。
「ドライバー保険」の補償内容は、対人賠償保険、対物賠償保険、搭乗者傷害保険が主な担保になっており、車両保険は付保できません。
また、「ドライバー保険」は他人が所有する自動車を運転する時の保険なので、記名被保険者本人や配偶者、同居している親族が所有する車、そして本人が役員になっている法人所有の車は適用の対象外になります。
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|1日自動車保険とは?
「1日自動車保険」は、名前のとおりで1日から契約できる自動車保険になります。
契約の期間は、概ね1日から最長でも7日間の範囲で選択することが出来ます。
1日だけ友人や知人から車を借りて出かける場合や、一緒に出かけた時に運転を代わる必要性がある様な時に「1日自動車保険」に加入しておくと安心して運転することが出来ます。
しかし、友人や知人が貸してくれる車や、所有者が運転を交代することを了承している車では、運転者を限定しないで保険に加入していることが多いので、万が一事故が起きても補償上は問題なく保険対応が出来るので「1日自動車保険」は必要ないと思われがちです。
果たして、そうでしょうか?
借りた車や、運転を交代して事故が起きてしまった場合を想定して頂きたい。
例え、事故を起こした車両の自動車保険を使えたとしても、契約内容が「免責金額」を設定していた場合は、車の所有者等の個人負担が生じることになります。
そして、大きいのは事故で保険を使用した場合、次年度の等級がダウンし保険料が高くなります。
事故状況等によっては、現状の等級に戻るためには3年間の時間が必要になります。
更に、保険金請求の手続き等で、保険契約者や車両所有者等に時間や手間などの負担をかける事にもなるでしょう。
車両所有者や保険契約者の、経済的かつ時間的な負担を考慮した場合「1日自動車保険」などによって、万が一の事故に備えておくことは重要と思います。
「1日自動車保険」は他人の車を運転することが前提になっていますので、自分の車や配偶者の車、法人所有の車は対象外となります。
また、短期間で利用するレンタカーについては、借りている期間中に事故が起きた場合に対応する保険等がレンタカーには完備されているので「1日自動車保険」はこれも対象外となります。
|ドライバー保険と1日自動車保険の主な違いは?
「ドライバー保険」の契約期間は1年ですが、対して「1日自動車保険」は最短で1日(24時間)から最長でも7日間です。
また、「1日自動車保険」は一般的に年齢条件の設定はありません。
車は所有していないが年間を通して他人の車を運転する頻度が高い場合は、「ドライバー保険」を選択すべきでしょう。
|補償の対象車種や対象外の車両は?
補償対象の車種について、「ドライバー保険」は一般的なほとんどの車種が対象になります。
自家用8車種の普通自動車、小型乗用車、軽四輪乗用車、小型貨物車、軽四輪貨物車、四輪貨物車0.5t以下、四輪貨物車0.5t超2t以下、特殊用途自動車、そして2輪自動車や原動機付自転車。
記名被保険者、記名被保険者の内縁を含む配偶者、記名被保険者の同居親族が所有する自動車、そして記名被保険者が役員になっている法人が所有する自動車は対象外になります。
「1日自動車保険」は、自家用8車種の内3車種で、普通自動車、小型乗用車と軽四輪乗用車と加入が限定されています。
そして、記名被保険者や指定被保険者またはその配偶者が所有する自動車、レンタカー(シェアリング車)、法人所有の自動車、保険会社が定める高額な車両は対象外になります。
※記名被保険者とは、契約車両を主に運転する人や、契約車両を自由に支配し使用する正当な権利を有する人の事を指します。
※指定被保険者とは、記名被保険者とは別に、保険契約者が指定する被保険者(運転免許保有者)をいい、記名被保険者と同等の補償を受けられる人を指します。
|補償範囲の違いは?
「ドライバー保険」の補償範囲として、対人や対物賠償、人身傷害が補償の基本になっており、保険会社によって数種類の特約を選択することも可能です。
また、「ドライバー保険」にも等級制度はありますが、一般的な自動車保険と等級の引き継ぎはできません。
「1日自動車保険」は保険期間が短期のため、等級制度はありませんが保険商品によっては、複数回利用した場合は保険料の割引や交代で運転する場合など2人目からの割引の制度があります。
基本的な補償としては、対人や対物賠償、自損事故の傷害、搭乗者傷害があります。
車両補償付き特約を選択すると、通常は300万円を限度に車両修復費用の補償を受ける事ができ免責金額を設定することも可能です。
この車両補償の特約は「ドライバー保険」では設定されていません。
保険会社によって保険料にも若干の違いもありますので、個別の確認が必要になります。
その他の特色や違いとして、「1日自動車保険」はレンタカーは対象になりませんが、「ドライバー保険」はレンタカーも補償の対象になります。
更に「ドライバー保険」は自転車で事故を起こして、人にケガを負わせた場合でも補償が可能になります。
|ドライバー保険と1日自動車保険どちらを選ぶ?
「ドライバー保険」と「1日自動車保険」は似たような自動車保険ではありますが、それぞれの保険が異なった特徴を持っていますので、状況に合わせて最適な自動車保険を選んで頂きたい。
どちらの保険も、運転免許は持っているが車は持っていない。
しかも、他人の車を運転する機会がある人が必要としている保険です。
「1日自動車保険」は前述した様に、旅行などで車の所有者と交代で運転をする場合に必要になりますが、その他には帰省した子が家族の車を運転する場合も有効です。
自動車保険は運転者の範囲が限定されるほど保険料が安くなるので、本人限定や本人・配偶者限定、家族限定で契約している場合が多い。
自動車保険における「家族」の定義の多くは、記名被保険者の同居の親族と別居の未婚の子です。
帰省して親の車を運転する場合、未婚の子の場合は家族限定で補償されますが、別居している既婚者の場合は家族限定条件の対象外になります。
仮に、年数回しか帰省しない子供のために、家族限定を外しての自動車保険は明らかにもったいない!
自動車保険は家族限定の契約のままにしておいて、帰省する子供の日程に合わせて「1日自動車保険」に加入した方が費用において効率的です。
しかも、「ドライバー保険」にはない車両補償も付けることが可能なので、補償内容もより充実したものになります。
|「ドライバー保険」と「1日自動車保険」の保険料は?
保険料で比較した場合「1日自動車保険」のほとんどは、車両の補償無で500円/日、補償を付けても1,500円/日ほどです。
「ドライバー保険」の、保険料は保険会社やプランによって多少の違いは有りますが、概して21歳以上で約3万円~5万円、21歳未満の人で4万円〜6万円が保険料の設定金額になっています。
「1日自動車保険」は保険料も割安感が高く使い勝手の良い自動車保険ですが、利用回数によっては「ドライバー保険」を選択する事を検討しても良いかも知れません。
例えば、1ヶ月に2回~3回位他人の車を運転するとして、「1日自動車保険」の車両補償付きのプランで1日1,500円の保険料を支払うことで計算してみると、合計で1年間に24回以上利用することになるので保険料の合計は36,000円以上になります。
この保険料であれば、21歳以上の「ドライバー保険」の保険料と大差ないか、もしくは「1日自動車保険」の保険料合計額の方が高くなる可能性もあります。
利用の回数によって違ってきますので、家族の車や友人の車を運転する回数が多い人は「1日自動車保険」の保険料合計額の方が高くなる可能性もあります。
|「ドライバー保険」と「1日自動車保険」の申し込みは?
保険の契約について、「ドライバー保険」はインターネットからでも簡単に申し込みできるので必要になった場合はすぐに加入が可能になります。
「1日自動車保険」もコンビニやスマホから簡単に加入が出来ますが、車両補償の特約を付保する場合は当日中の手続きでは加入はできません。
車両補償付のプランは事前の登録が必要になっており、利用開始日が事前登録した日から7日以上の期間が必要になるという制約も有ります。
「1日自動車保険」の補償期間は、申し込み時間によっては2日分の保険料が必要になる商品もありましたが、現在は24時間単位になっていますので保険会社によって、補償期間の長さに違いは無くなりました。
保険料を安く抑えたい補償内容を充実させたい等、個人の必要性に合わせたプランや特約を選択できる様に、各保険会社の特徴をしっかりと調べておくことが必要でしょう。