等級ダウンする保険としない保険!いたずら落書きはどっち?

自動車保険の知識

|保険金請求の内容で等級がダウンするカウントが異なります!
自動車事故が起きて保険金の支払いを受けた場合、次年度の更新時に等級がダウンするのは一般的に知られているところです。

しかし、事故を起こして保険金の支払いを受けると一律に等級ダウンするのではなく、請求内容によって
「3等級ダウン」ではなく「1等級ダウン」で済む場合や「ノーカウント」で保険金を請求しなかったのと同様に次年度に等級がアップするという3通りに分かれます。


以前は、「等級据え置き事故」もありましたが、保険会社の利益に影響するという理由?!で2013年の改正によって廃止になり、「等級据え置き事故」は全て「一等級ダウン事故」に変わり同時に「等級プロテクト特約」も廃止になりました。


|1等級ダウンする事故とは?
1等級ダウンする事故ですが、基本は車両や車両保険に事故発生条件が満たされた場合に適用されます。

適用されて保険金を請求すると、次年度の等級は1等級下がっての更改となります。

なお、事故有係数の適用期間は6年が上限になります。


[車両に関する1等級ダウンする主な担保は?]

・車両保険事故(車両新価特約、リースカー車両費用特約含む)

・車両積載動産特約


・被けん引自動車車両損害包括特約


[車両に関する
主な事故発生の種類は?]

・火災または爆発ですが飛来してきた、または落下中の物以外の他物との衝突、接触による火災や爆発は除きます。(飛来中や落下中の他物と接触や衝突した場合は対象になるということになります。)

・盗難


・台風や竜巻、洪水、高潮による損害


・騒じょうや労働争議に伴う暴力行為、破壊行為


・落書きやいたずら等の契約車両に対する直接の人的損害


但し、車を走行させて生じた損害や他の自動車との接触など、または契約車両を滅失や破損、汚損の意図が無くなされた行為などによる損害は除かれます。


保険会社によって微妙な違いはありますので、ご自分が加入している保険会社や代理店に確認しておくことが大切になります。


|1等級ダウンの事故「いたずら」と「落書き」に拘ってみた!

等級ダウン事故の一例ですが、微妙で悩ましい事案のひとつで個人的に「問題あるよなぁ」と感じるのが、車両保険の「いたずら・落書き」事故による請求です。

「落書き」は文字通り、人の意思が介在して車両に何かでペイントされた事と、どうにか理解や納得することも可能かも知れませんし、保険会社でも特に問題にならず1等級ダウンの事故として対応しています。


しかし、「いたずら」の範囲や定義は非常に曖昧です。


板金塗装を伴うのか否か?がひとつの目安と判断される場合など・・、もっとすごいのは「いたずらは、落書き以外のいたずら全て」と定義している保険会社もあります。


一瞬笑ってしまいますが、それ以外にどの様に説明するのかと考えると・・こんな表現になるのかな?!と納得することもできるかも知れません?!。


本社や本店の相談センターに電話しても、明確な回答をせず(できない)相対する事故処理対応センターの判断に任せることになるのだろうと予想してしまいます。


対応する事故処理センターとしては、「まず事故報告をあげて下さい、現物をアジャスターが確認して1等級ダウンか否かを判定します」と回答するしかないはずです。


つまり、落書きやいたずらはキズの状態を現認して判断するということになります。


定義自体が曖昧なために、現物を見ないと判断出来ないと言うことでしょう。


某損保会社では「落書きは、車にペンキや油性のペンなどで、文字や線、絵など社会通念上「書かれた」若しくは「描かれた」と見なし得るものを言います。鋼板部分の凹みを伴ういたずら傷は落書きには該当しません。」と定義づけしています。

一見すると明快に定義されていると思いますが、「いたずら」も「落書き」も1等級ダウンの事故なので鋼板部分の凹みを伴っても落書きには該当しないが、「いたずら傷」と認定されるなら、ここまで明快な定義は必要ないのです。


問題は、1等級ダウンで済む「いたずら傷」なのか否かだけなのです。


定義が曖昧なことで、中には「いたずら」なのか「擦りキズ」なのか、最悪は「こすりキズ」の上に「いたずら傷」を付けたら、3等級ダウンを1等級ダウン事故に偽装することも出来るかもと、悪い考え方をされる余地を残してしまうことも・・起こり得ます。


「報告をもらって、傷を現認してから・・」が、保険会社の対応としては当然になる理由はここにもあります。


本来は3等級に該当する接触による「擦りキズ」の上に「いたずら傷」をつけて1等級ダウン事故を狙ったり、「擦りキズ」を「いたずら傷」と言い切ったりと、・・現実にあった請求事件です。


これは思いついて請求した契約者がもちろん悪いのは当然ですが、明確化できていないがために偽装請求を思いつかせた、保険会社にも責任の一端はあるといえるのかも・・。


いずれにせよ、この「いたずらと落書き」に限らず、定義など一般ユーザーにも理解出来る様に明確化しなければならない項目は、少なくありません。


その一部を取り上げて自動車保険にも問題は有るかも知れないという提起です。


|等級ダウンばかりでは無い!ノーカウントも有ります!

「ノーカウント事故」とは、保険金の支払いを受けても事故件数に数えない事故をいいます。

他の事故や保険金請求がない場合は、次年度の更新においても現時点での等級から1等級上がることになります。


主な「ノーカウント」の保険種目です。


・車両保険の応急処置費用や運搬費用または引取費用の各費用保険金


・対人賠償保険の臨時費用保険金のみ


・人身傷害保険(入院時費用特約や死亡や後遺障害定額給付金等を含む)


・搭乗者傷害保険や特約


・無保険車傷害保険や特約


・ファミリーバイク特約


・弁護士費用特約


・個人賠償責任保険や特約


・自転車傷害特約    等々


|対人賠償保険のノーカウントされる保険金の支払い方

少し、トラブルを招きやすいノーカウントの事故事例の紹介になりますが、担保種目は「対人賠償保険」です。

対人賠償保険は簡単にいうと車の運行に起因して、運転者や車両所有者以外の他人を傷つけた場合に損害を賠償するための保険です。


そして、対人の賠償保険は2段構成になっているのです。


1段目に自賠責保険(国交省管轄の強制保険)があり、その上に損害保険会社の任意対人賠償保険があります。


等級に影響するのは、損害保険会社の対人賠償保険、つまり任意保険を使用したかどうかです。


例えば、ケガが頸椎捻挫(むち打ち)で軽傷の範囲だった場合を想定します。

ケガが治って損害が確定すると示談協議に取りかかりますが、軽傷の場合は治療費や通院交通費、休業損害、慰謝料の項目で賠償するのが一般的です。


1段目の自賠責保険は、傷害部分では120万円の枠があります。


この自賠責保険の基準の積算で、かつ120万円以内で示談が成立した場合は、任意の対人賠償保険での支払は生じない、つまり使用しないことになります。


この場合は、ノーカウント事故扱いになります。


ところが、少額でも自賠責保険の積算基準ではなく、保険会社の対人賠償保険(任意保険)の基準で示談成立した場合は、仮に数千円でも任意保険を使用したことになるので、更新時には3等級ダウンした保険料になります。


保険会社の任意保険は、基本的には1円でも使用したら3等級ダウンになります。


この保険金の支払いと等級継承の問題で、契約者とのトラブルもあった時代は確かにありました。


昨今では、損保各社とも相手に支払う保険金の内容を契約者にお知らせして、任意保険を使用しても良いか?それとも、任意保険で支払った金額を戻入(結果的には契約者側の自己負担になります)してもらって等級を継承するかを選択してもらう事にはなりますが・・。


任意保険会社が示談を代行するので任意保険基準で示談するのも当然起こり得ますし、可能と言える範囲かも知れませんが、被害者に示談案を提示する前に契約者側のコンセンサスを取り付けておくことも今の時代は必要なのかも知れません。

|3等級ダウンする事故は?

1等級ダウンの事故、ノーカウント事故に該当しない事故以外は全て「3等級ダウン事故」に該当することになります。

この場合は、次年度の契約は前契約より3等級下がって更改となります。


等級制度は少し複雑ではありますが、保険料に影響を与える重要な項目なのです。


ユーザー目線で等級を判断するとしたら、保険会社の事故対応部署の社員より代理店の方が詳しいかも知れません。

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