交通事故で死亡!損害賠償の請求はどの様に進めるのか?

対人賠償

|死亡事故における損害賠償請求の基本を知る!
交通事故で被害者が亡くなった場合、賠償の交渉は誰が行うのか?そして損害賠償の請求項目は?賠償額の算定はどの様に・・?過失割合はやはり影響するのか?

死亡事故が起きて、具体的な賠償協議を開始する前に重要な事は、事故状況や不明な部分をそのままにして協議を進めないことが重要です。

特に、事故状況によって遺族が受け取れる損害賠償額に影響する過失割合は注意すべきでしょう。

保険会社にとっても、賠償協議を進める過程において大きなポイントになります。

事故の目撃者がいるのならまだいいのですが、人通りの無い夜間や郊外で起きた事故では、加害者の証言が事故状況を判断する第一次的な手がかりになってしまいます。

事故状況について遺族や親族が納得できない部分がある場合は、多少時間を要しても
「実況見分調書」を確認してから保険会社と賠償協議を開始するという事が必要と思うのです。

保険会社としても、死亡事故の賠償額は高額になる場合が多く、少しでも被害者の過失を多く取りたいと思うのは致し方ないところではありますが、それでも警察捜査の結果をもって作成された「実況見分調書」を尊重して事故状況を判断する事になります。

被害者が亡くなった交通事故といっても、事故が起きて即死された場合と一命を取り留めるために入院治療した後に亡くなる場合があります。

即死された場合は、死亡と事故の因果関係が問題になる様な事はほぼ有りませんし、損害賠償の請求項目も早期に特定することができます。

しかし、入院された後に相応の期間を経て亡くなった場合は、死亡と事故の因果関係が問題になる可能性も有りますし、治療費や傷害慰謝料などの傷害部分の損害項目が増えるので損害賠償額も増えることになります。


                保険相談をもっと身近に保険コネクト

|代理店型保険会社が対応する基本的な手順は?

死亡事故の報告が事故対応センターに入って来た場合、被害者遺族への対応を中心に保険会社はどの様な手順で協議を開始するのでしょうか?

事故が発生した地域とは関係なく、ほとんどの保険会社は契約者の住所ベースや契約先の相対する営業課支社管轄の事故対応センターに報告が入ってきます。

契約者が団体契約で赴任先が東京の場合は、東京の相対する事故センターに報告が入るのが一般的ということになります。

例えば、遠方で家族が暮らしている地域や旅行先で事故が起きた場合でも、契約ベースの相対事故センターに報告が入ってくるということです。

事故を受けたセンターでは契約者と初期対応の連絡を取って、急を要する基本的な対応と事故地を管轄する事故対応センターに「窓口を変更」すること等の協議を行い、契約者の了承を確認して移管します。

この窓口変更(通称は「窓変」、保険会社によっては「移管」)は、保険会社では死亡事故に限らず人身事故であれば物損害を含めてほとんど全件、物損事故のみの場合は難航が認められる場合など、面談などの被害者対応が求められる事案は日常的に変更が行われています。

中には、負傷した被害者が未成年の場合や、交渉の窓口になる人が遠方に在住している場合は事故地のセンターから親権者や窓口になる方の居住地を管轄するセンターへの「窓変」も行われています。


|社会的儀礼として四十九日を過ぎてから保険会社は動く

保険会社は加害者が負う賠償義務を代わって履行するのが目的になります。

極端に言えば、保険会社はお金の話しかないのです。

不幸があったばかりの遺族に、事故の直近で保険会社から連絡が入ると「こんな時に、もうお金の話なの?!」という反応が多いのも当然と思います。

そのためもあって、契約者や加害者には初期対応する際に道義的責任などについての説明や依頼すべき項目をお話しするのですが、謝罪訪問や葬儀参列などの機会に、ご遺族には四十九日を過ぎた頃に保険会社から連絡が入る旨を伝えてもらう事を依頼します。

遺族から葬儀等がひと段落した時点で直ぐにでも賠償協議を始めたい意向がある場合は、遺族の要望に従う事にはなります。

保険会社は社会的な儀礼とされる四十九日の間に、事故状況の調査や被害者に関してなどの情報収集、支払保険金の見込み額の算出などの作業を行っています。

四十九日が明けた頃に、被害者遺族に連絡を取って面談により今後の手続きについて説明する事になります。

|遺族への依頼事項について

遺族には必要書類の準備を依頼するのですが、主な書類としては「死亡診断書又は死体検案書」、「戸籍謄本(除籍謄本)」、「請求権者全員の委任状」、「葬儀等の領収書」などになります。

賠償の協議を行う際に請求権者が複数存在する場合は、保険会社としては一般的に請求権者の中の一人を交渉窓口として決めて頂く事になります。

子供や未成年の場合は親権者がそのまま委任される事になりますが、例えば被害者が高齢だった場合は相応の確率で問題が生じる印象があります。

被害者自身が高齢者なので、ほとんど親は既に他界されていますが、子供が有る程度の年齢に達していて復数人がいる場合、交渉窓口の代表者選任で難航するケースがあります。

中には兄弟や親族間が不仲のため連絡を取るのを嫌うケースや、交渉窓口を一本化するための委任状を拒否される場合などです。

基本的には、
全ての請求権者の委任状が揃わなければ協議や交渉を開始することはできません、その上保険金の支払先も受任者が指定した口座になるので保険金の支払いも出来ません。

また、被害者の遺族である子供が亡くなっている場合は更に、代襲相続の問題も生じて来ます。


死亡事故の場合は、請求権者を特定するためにも戸籍謄本が必要になります。

特に高齢者が被害者だった場合、戸籍謄本だけではなく除籍謄本や改正原戸籍謄本が必要になる場合が有ります。


出生から死亡までの戸籍謄本を取得する場合、最初に死亡の記載がある戸籍謄本または除籍謄本を取ります。

戸籍謄本などには、前の戸籍の情報が記載されていますので、そこからスタートして戸籍を遡って出生が記載されている戸籍に辿り着く必要があります。

その過程で、取得されることになるのが改製原戸籍謄本です。

これは、
過去に結婚されていて子供がいた場合や、認知されていた子供がいた場合は請求権者になるので存在の有無は絶対に確認しなければなりません。

病気や災害などで亡くなった場合は、戸籍を遡る作業は必要ありませんが、交通事故で亡くなって戸籍を取ったら遺族が知らなかった事実が明らかになった事例も数件経験しました。

|死亡事故においても過失割合が占める意味は大きい!

おおよその書類が揃ってきた状況から賠償協議を開始する事になるのですが、賠償額に大きく影響するのはやはり「過失割合」になります。

死亡事故の場合、被害者から事故状況や言い分を聞くことはできません。

そのために、加害者の証言を基にして交通事故の状況を示す「実況見分調書」が作成され、過失割合が判断されてしまうことも起こります。

被害者の遺族としては事故状況や過失割合に納得がいかず、賠償協議が進まない状況になる事もあります。

[対策1] 映像を探しましょう!

死亡事故における、過失割合を認定するための証拠のひとつとして、ドライブレコーダーの映像があります。

例えば、被害者が運転していた車両にドライブレコーダーが搭載されていた場合は映像を確認してみましょう。

死亡事故では被害者の主張や証言を確認できないため、ドライブレコーダーによって事故状況が明確になるので、適正な過失割合を認定するにはとても有効です。

しかし、加害者が運転していた車両にドライブレコーダーが搭載されていたとしても、映像の提出には強制力がなくあくまでも任意提出になっています。

加害者側がドライブレコーダーの映像提出を拒否された場合は、加害者側の保険会社を通して依頼する方法もあります。

被害者が歩行者や自転車であった場合や事故状況に納得がいかない場合などは、
可能な限り早期に交通事故現場周辺に防犯カメラが無いか探してみる事も必要です。

実際に防犯カメラの映像が事故状況を確認するのに役立った事も有ります。


交通事故の現場周辺に防犯カメラを見つけた場合は、施設の管理者に連絡を入れて防犯カメラの映像を開示してくれる様に依頼してみましょう。

映像開示を断られた場合は、まず警察に依頼するのが最良と思いますが、全ての警察がタイムリーに動くとは限りません。

防犯カメラの映像は、一定期間で消去されてしまうことが多く時間的にも猶予はあまり有りません。

その場合は、弁護士に依頼するという方法もあります。

弁護士は施設の管理者と交渉する等、弁護士会照会をすることによって防犯カメラの映像開示に応じてくれる可能性は出て来ます。

保険会社としても、事故状況が明確になって事実に沿った賠償協議を望んでいます。

賠償協議が進展している途中で、新たな事故状況が判明することの方が難航する経験をしているからです。

被害者側の遺族と無駄な軋轢は極力避けたい思惑もあるので、たとえ賠償額が増額になる可能性があったとしても保険会社は頑なに認めないとの主張はしないはずです。


対策2] 実況見分調書の確認

死亡事故の過失割合を適正に認定するには、交通事故の状況を示す警察が作成した「実況見分調書」の確認も重要になります。

実況見分調書の閲覧が可能になるには数ケ月の期間を要する場合もありますが、それでも後々の示談協議を考えたら待ってみる価値はあるかも知れません。

死亡事故の場合は被害者が亡くなっているため、加害者の証言を基に捜査が進められるのですが、車両の損傷状況や衝突直後の双方の位置などは確認しています。

加害者の証言が主体となって実況見分調書が作成されてしまう可能性は否定しませんが、それでも
実況見分調書を精査することによって、事故状況について新たな事実や加害者証言の矛盾点を発見できる場合もあります。

少しでも疑問や問題点を感じたら、弁護士などに実況見分調書の精査のみでも依頼する事を検討してもいいかも知れません。


               敷金・礼金・手数料・更新料が全て無料!

タイトルとURLをコピーしました