弁護士の選び方その前に・・・
|保険会社は被害者が弁護士を委任するのは歓迎なのか?!
交通事故によって被った損害を加害者側に賠償請求する際に、弁護士に交渉などを依頼する選択肢も被害者にはあります。
弁護士が介入することで、特に人身系損害の賠償額が増えるケースが多くなるので保険会社としては歓迎していないのは事実です。
しかし、現場の担当者は会社の思いと少し違って、協議や交渉が膠着状態であったり、感情的な思いが強く賠償協議が進まない状況がある場合など、弁護士に依頼するのを期待したり暗に勧めることもあります。
被害者や相手方が弁護士に依頼することにより、膠着状態や協議が進まない事案が解決に向けて動くのは大きいのです。
損保の担当者としては、弁護士が介入することで請求の根拠や立証義務等について基本的な説明が省けること、根拠が明確にならない請求はしてこないこと、被害者本人の感情的な部分で請求していた項目について請求を取り下げる事も期待します。
よって、諸手を上げて!とまではいいませんが、気持ちの中では片手くらいは上げて歓迎する場合もあるのです。
また、賠償額はさておいて、被害者との直接交渉ではなくなるので割り切った事務的な対応が可能になり、請求内容についても明確に拒否や主張ができるので、担当者の心的なストレス軽減にも繋がります。
賠償請求権者や被害者にしても、交渉や協議の煩雑さから解放されたり、人身損害に関しては賠償額増額の可能性が高くなったり、解決の内容に納得感が得られるなどのメリットもあります。
|弁護士に依頼する場合の一般的な手順は?
賠償請求手続きや交渉を弁護士に依頼するための一般的な手続きや手順はどの様に運べばいいのでしょうか?
[手順1]依頼するための弁護士を探す
弁護士にはそれぞれ得意分野がある様で、「交通事故が専門で裁判や示談の交渉経験が豊富な弁護士を探すことが大切」です・・。
と言われていますが、交通事故の賠償に関する弁護士基準はかなり詳細に整備されているので、得意な分野が交通事故ではなくても賠償金額に明確な差が出た!とは感じた事案はありませんでした。
最近では、インターネットの活用やテレビやラジオのCMや電車内のポスターなどを利用して弁護士を探す人もいる様です。
その他には、市役所などの法律相談や弁護士会などで紹介してもらうという方法もあります。
そして、ここが肝心!まず、初回の相談料が無料の弁護士を探しましょう。
交通事故の賠償交渉の経過等にもよりますが、保険会社との協議が難航している場合や質問したい事が沢山ある場合は相談時間が長引いてしまう場合の可能性が大です。
仮に、1時間1万円の相談料を設定している事務所では、相談費用も相応の金額が発生することになります。
相談した結果、正式に依頼される場合は相談料が無料になります!と掲げている事務所もありますので、電話等で相談予約をする場合に事前にチェックされることが大切になります。
[手順2]弁護士に相談するために面談に出向く
弁護士の候補が絞れたら、相談するために面談することになります。
相談する際に、情報は全てそして正確に弁護士に伝える事が大切です。
伝えたいことや言いたい事、状況なども事前にメモなどでまとめて置く工夫も有効になります。
また、不明なことや不安なことを残さない様にしっかりと質問し、回答される内容が理解出来ない場合は臆せず、繰り返して理解出来るまで質問をしましょう。
そして、依頼する可能性がある場合は、着手金や報酬などの費用についても明確にさせておくことがとても重要になります。
[手順3] 依頼するか?やめるか?を決める!
依頼するか?それとも止めておくか?を決めるのは、相談者本人になります。
相談した結果で判断することになりますが、弁護士は「請求額がそのままに認められる」とか「要求通りで勝ちます」とは言いません。
言い切らないことで、依頼するか否かを決めるのは間違いです。
交渉事ですから、やってみなければ分からない部分があるのは確かなのです。
不確実な事はいえないと知らせてくれる方が誠実な対応なのかも知れません。
依頼する場合は一般的には当日、正式な委任契約書を交わし着手金や事務手数料の支払が必要になる事務所もあります。
|依頼するか否かのポイントは大きくは2つ
[1]第一印象は大切です
話のしやすい弁護士と感じた、信用出来そうな弁護士など、依頼者との相性や第一印象も大切なポイントになります。
そして、出来るだけ依頼者の居住地に近い弁護士に依頼することです。
弁護士費用のうち、仮に相談料や着手金が無料になっても、実費まで無料になったケースはありません。
例えば、東京の弁護士が北海道に来る場合は、交通費や日当が発生し弁護士に支払う総費用が高額になる可能性もあります。
地域によっては、交通事故の賠償問題が専門という弁護士がいない場合もあるかも知れません。
近隣の交通事故が専門ではない弁護士と、遠方で交通事故が得意の弁護士とどちらに依頼したらいいのか?
経験から個人的には、近くの弁護士に依頼することをお勧めしたい。
交通事故の賠償は、詳細な基準があるので医療技術に関する問題や特異な賠償でなければ弁護士の専門性に大きく拘る必要がないと思います。
それ以上に、費用が抑えられることや、面談での相談や協議が随時可能な事の方がメリットは大きい。
[2]弁護士費用を抜いては考えられない
平成16年4月1日から、弁護士が自由な裁量によって報酬金額を決める制度に変わりました。
それまでは、日弁連が定めた報酬規程が存在して、弁護士はその報酬規程に沿って費用請求をしていましたので、弁護士によって費用の差はほとんどありませんでした。
弁護士は、報酬金額は自由化されましたが無条件で報酬を高くはできませんといいます。
日弁連には今も「弁護士の報酬に関する規定」があり、「弁護士の報酬は経済的利益、事案の難易、時間および労力、その他の事情に照らし合わせ、適正かつ妥当なものでなくてはならない。」と明示されていますと説明しています。
しかし、具体性に欠ける「推奨する規定」と読み取れなくも有りません。
依頼者にしてみたら、妥当な金額はどの様に判断したら良いのか不明であり、不安もあって当然なのです。
弁護士委任する場合、弁護士に支払う費用は大きくは3つあります。
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|賠償請求や示談交渉を弁護士に依頼した場合に支払う費用とは?
弁護士費用の内訳としては着手金、報酬金そして事務手数料や実費があります。
[着手金]
着手金は示談や調停、訴訟の結果に関係なく、弁護士に依頼したときに支払う費用です。
着手金の設定は、弁護士によって違ってきます。
例として、加害者側の保険会社が500万円を支払う提示がある場合ですが、依頼者は500万円では納得せず1000万円を要求するために弁護士に委任した場合です。
請求額の1000万円を基準に着手金を計算する弁護士もいますし、請求額の1000万円―500万円=500万円を基準に着手金を計算する弁護士もいます。
弁護士に依頼しなくても500万円は支払ってもらえる事になりますので、弁護士に依頼したことで増える経済的利益の額によって計算するということです。
1000万円を基準額として着手金を計算すると約60万円位になりますが、500万円の経済的利益で計算すると、着手金は約35万円位で済みます。
但し、事案の難易度によって着手金は増減することになるので、費用については後日のトラブルを回避するためにも、何を基準に着手金を計算するのか、委任契約前にしっかりと確認することが大切です。
委任契約を交わし、着手金を支払った後に弁護士を解任しても通常は着手金は戻って来ません。
弁護士によっては、それまでの活動状況に応じて着手金の一部を返金してくれる場合もある様ですが、かなりレアなケースになります。
弁護士への委任は、重要な決断と認識して後で後悔しない様に、支払う費用についても理解できない状況で決めないことです。
理解できるまで説明を受けて、信頼できると判断した弁護士を慎重に選んで委任することが大切になります。
[報酬金(成功報酬)]
報酬金は、結果に応じて支払う弁護士費用です。
そして、報酬金は着手金を基準に決めている弁護士が多い様です。
一般的には着手金が高ければ賠償請求額も高く、難事案ということで決着した場合の報酬金も高くなるのが普通です。
交通事故の報酬金を計算する場合、一律で損害賠償額の10%という事務所や、保険会社から賠償額が提示されている場合はその賠償額から増額に成功した金額の30%というように、増額分に対しての割合で報酬金を計算する弁護士もいます。
着手金と同様に経済的利益の金額を基準に決定していることになります。
その他に、保険会社からの損害賠償額が提示されていても無関係に、決まった損害額の10%に20万円を加算、という様な決め方もある様です。
依頼者にとってはどちらが良いのか一概には言えません。
請求額などから判断することになるのですが、弁護士への支払費用を抑えることのみで検討した場合です。
確定した損害賠償額が保険会社が提示した賠償額の1.5倍未満であれば増額に成功した経済的利益の30%までの報酬額の方が安くなると思われます。
依頼時点で、解決の見込み額や見通しが不明の場合は、個人的には経済的利益の30%報酬を規定している弁護士を選任するのが妥当な線かな?!と思っています。
[事務手数料や実費]
交通事故の損害賠償交渉を弁護士に依頼する場合は、北海道の被害者が東京の弁護士に依頼することも可能です。
面談ではなく電話で相談し、必要書類の送付等により依頼することができるのです。
先でも触れましたが、遠方の弁護士に依頼する場合は実費や交通費、日当が高くなる可能性があることを理解しておかなければなりません。
状況によっては、東京の弁護士が北海道に来る必要が生じた場合には、交通費や日当等の費用が発生します。
弁護士を一日拘束する場合の日当は高額になるのが一般的です。
実費のことも考えて近隣の弁護士に依頼することが最良と思います。
また、実費や事務手数料も多岐に渡ります、一例を次に紹介しておきます。
・電子内容証明郵便送付(宅急便による通知書送付も同様)
・簡易書留発送(通知書など諸書面送付含む)
・登記事項証明取得等取得手数料
・ブルーマップ、オンライン請求全部事項証明取得、インターネット登記情報提供サービス
・固定資産評価証明取得、住民票写し職務上請求、戸籍謄本取得他
・CD-R作成、CD-ROM代、USBメモリー(全て実費)
・印刷代、印刷コピー実費、スキャン代、FAX送信料受信料
・切手代・印紙代・レターパック代(定価額)
主な事務費ですが、各項目全てに事務所事務手数料が含まれた金額になる様です。
|弁護士費用の減額は可能か!?
交通事故民事の弁護士費用は、相手に請求する金額によって変わるのが普通です。
請求額が高ければ弁護士費用も高くなります。
これは、平成16年4月以前の弁護士会の報酬規定によるもので、そのためか一般的には多くの弁護士がその計算方法を採用している様です。
弁護士会の規定では、裁判ではなく、示談交渉や調停での解決を考えている依頼者の費用は3分の2に減額できるという規定があります。
実際に、示談交渉で解決出来たので「費用について、3分の2に減額できると聞いたのですが・・」と弁護士に伝えてみたところ、報酬金が安くなったという例もありました。
弁護士も想定外であっさりと交渉や調停で解決した場合、3分の2に減額できるという規定を適用し、成功報酬金額を安くしてくれる可能性もありますので申し出をしてみる価値はあると思います。
いずれにしても、賠償請求額や請求方法(示談か調停か、それとも訴訟か)、弁護士との相性や費用をしっかり見極めて、弁護士に委任する場合は参考にして頂きたい。