「症状固定」を判断するのは医師!?その後の手続きは?

対人賠償

|症状固定とは?示談協議はどうなる?
交通事故でケガをした被害者は完治することを目指して治療を続けるのですが、ある一定の症状から大幅な改善見られず、これ以上治療を継続しても回復が見込めなくなった状態を医学的に「症状固定」と言います。

症状固定の状態とは、痛みが残った状態や骨の部分が変形した状態や、関節を曲げる或いは伸ばしたりする範囲が狭くなった等々、身体の部位や状態によって異なります。

交通事故で最も多い「むち打ち症」の場合だと、病院で治療や投薬を受けた時は一時的に改善された状態になるが、少し時間が経つとまた痛みが出た、または重い肩凝り等の症状に戻るという一進一退を繰り返す様な状態になることが多い様です。


簡単に言えば、良くもならない!悪くもならない!ただ、症状は有る!状態のことですが、
「症状固定」はもうひとつ賠償上の観点からは「賠償期間の終結」を意味します。

医学的な所見で、今後も改善が見込めない状態の治療費用を加害者側に負担させて行くのは、賠償上の妥当性に欠けるという事です。


よって治療期間は終了し、残存した症状については「後遺障害」として損害賠償協議の対象にしますので、交通事故の問題を解決する方向に進めましょうという意味を持ちます。


医師の診断に基づいて症状固定と判断された場合、その診断日から先は「後遺障害」という項目で賠償協議を進める事になり、その前までの「傷害」とに分けることになります。


つまり、
症状固定は賠償上では「傷害部分」の終わりを意味する事になるため、治療費や通院費そして休業損害など傷害部分の損害が確定するということです。

見方を変えれば、症状固定になって「後遺障害」の等級認定や協議はこれから始まりますが、「傷害」部分の損害は確定したので「傷害」のみの示談は可能な状態になります。


実務的には、約20%以上の割合で傷害部分のみの示談を先にするケースがあります。


これは賠償上、「傷害」と「後遺障害」はまるっきり別の賠償項目という事を意味しています。

「後遺障害」の等級に該当した場合や等級に非該当になった場合でも、「傷害」部分の賠償金には一切影響しないで示談を進める事が出来ます。

被害者側のメリットとしては、「後遺障害」の等級が確定しなくても「傷害」部分の示談協議を始めることができるので、示談金の一部を比較的早期に受領する事が可能になります。


そしてデメリットは、後遺障害の等級が非該当になった場合は、示談が完了している状況のために一切の賠償交渉や協議が出来なくなるという事です。


等級には該当しなかったが、症状が残存している場合であれば「傷害」の示談金で少し考慮して下さい等の申し入れ等の交渉さえもできません。

「症状固定」が確定した時点で「傷害」部分のみの一部示談に応じる場合は、後遺障害の等級申請をした場合でも症状や診断書等から「多分等級には該当しないだろうな?!」と納得した想定が出来ること。


或いは「後遺障害」の等級には明らかに該当になると客観的に見込まれる場合も「傷害」のみの示談は完了させてもいいかと思います。


それ以外の場合、特に後遺障害の等級には該当しないレベルかも知れないが、症状は残っている!という被害者は、後遺障害の等級を確定させてから示談協議を行うことの方がいいかも知れません。

傷害部分の示談が完了した後に、後遺障害の等級に該当した場合は後遺障害の示談書も別に作成されることになるので、示談書は2通作成される事になります。


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|軽い症状が残存した場合も「症状固定」として示談する?!

後遺障害の等級に明らかに該当はしない軽い症状!しかし症状としては残っている感じはある・・、ケガとしては治ったと思う範囲なので傷害のみで示談をするのに問題はないのか?


しかし、示談完了した後に明らかな後遺障害の症状が現れるかも知れないという心配があるので、示談書に署名や捺印するのに躊躇してしまう、となった場合の選択肢は単純にふたつ。

ひとつは、心配が無くなるまで時効に注意しながら示談を保留にして様子を見る。


この場合は、示談は成立していないので賠償金は支払われない為ただ様子を見る!だけなので現実的ではありません。

そして、もう一つは示談書の備考欄や空白欄に「後日、本件事故と因果関係のある障害が判明した場合は、当示談とは別途に甲と乙双方で協議する」みたいな文言を記載して示談する方法を取る場合があります。

保険会社の担当者も、「了解しました、文言を入れますよ!」と結構軽いノリで返答すると思います。


被害者は内容について、納得した上で署名と捺印をして下さい。

但し、注意しなければならないポイントは二つで、ひとつは「本件事故と因果関係ある障害」この部分の証明は越えなければならないハードルが見えない位に高い!

そして、もうひとつは「甲・乙双方で協議」になります。


「協議する」なのです。

協議して後遺障害を認めましょう!では無く、あくまでも「協議する」の域なのです。

協議および確認した結果、後遺障害は認めません!が有るということです。

「因果関係のある障害」を証明するのは、医師になります。

仮に、数か月が経過して症状が出て来た場合ですが交通事故が原因の症状なのか、日常生活の中で転んだり仕事でぶつけたりの可能性はあるので、明らかに交通事故が原因と確信する状態でなければ医師はほぼ100%証明しません!では無く証明出来ません!なのです。

逆に、交通事故と因果関係がある旨の証明書を作成した場合は、保険会社の反応はどうなるのか?

該当した事案や経験が無いので不明ですが・・多分、因果関係を認める根拠は?医学的かつ客観的に立証して下さい!資料を提示下さい!など大騒ぎするのではないか?!と想像してしまいます。

相応の時間が経過した後に現れる症状については、因果関係を証明するのは不可能に近い状況にあるため、保険会社の担当者は気軽に文言の挿入を快諾しているのが現状です。


「後日、本件事故と因果関係のある障害が判明・・・」の文言は、被害者にとっては気休めの内容にしかなっていないと思って頂いた方がいいかも知れません。


ささやかな抵抗として、最後の診察の際に「まだ、少し〇〇に気になる症状は残っている感じはあるので、仮に将来症状が現れるとしたらどんな症状が想定されますか?可能性の範ちゅうでいいので診断書の片隅に記録しておいて下さい」の様な申し出を医師にしてみることです。

記載してくれたとしても多分、因果関係を証明するハードルは越せないと思いますが、治療終了した時点では懸念はあったことの証明になるかも知れません。


症状固定時には症状が残存していたことを記録しておくことで、相応の期間が経過しても消失していない状態を担当医に訴えることができると思います。


因果関係のある症状が残っていた状態をどの様に評価されるのかは別のことと思いますが、後遺障害等級申請を協議する為の導火線位にはなる可能性は少しあるかも・・・!

|症状固定の時期はどの様に、そして誰が決めるのか?
「症状固定」という損害賠償の方向性を決める傷害と障害の分岐点は、どういう形で決められるのでしょうか?


|決めるのは保険会社?それとも医師?被害者は・・?

保険会社は月末〆で病院から送付されて来る診断書や診療報酬明細書により、ある意味では被害者本人より客観的に治療内容や状態を把握できる立場にはあるといえるかも知れません。

対症療法を繰り返している状況が数か月続いていることを確認すると、保険会社は症状固定の時期を見据えた活動を展開する事になります。


その第一段階として、診断書等と治療状況を照らし合わせるために被害者本人に症状や状態を確認し、症状固定時期に関して保険会社としての判断を伝える事になります。


治療期間が長期になっているからという理由だけで、保険会社が「そろそろ症状固定にしましょう」と後遺障害診断書を送付する様なことは通常はありませんし、まして唐突に「治療費の支払いは今月で終了にします」と一方的に通告することもありませんし、やってはいけません!


次の段階として、社内顧問医等の判断も仰ぎます。


顧問医相談の結果を受けて、被害者の担当医に医療照会などを実施します。


症状や治療経過等の確認レベルであれば、文書照会になりますが、症状固定時期や治療終了に関しての照会は直接医師との面談によって膝詰で確認するケースが多くなります。


医師との面談者は事案担当者のみでは無く、通常は医療の専門スタッフとの2名体制で実施する保険会社が多い様です。


医師面談では担当医の所見は最大限尊重しますが、保険会社が症状固定の時期が到来している、或いは到来の時期を判断している根拠を提示することになります。


最終的には、症状の経過を確認しながら
治療を行って来た担当医が、医学的な判断に基づいて被害者と協議して決定する場合が多い。

症状が残っている状態では、被害者本人は当然ですが治療継続を希望する場合が多い。


そして、医師も治療の必要性と治療を継続する効果を認めた場合は、治療の継続を認める事になるのが一般的な保険会社の対応になります。


但し、治療継続の必要性を医師が認めた場合は、治療効果があることが大前提にあります!


例として、頸椎捻挫で神経症状が現れているので、今手続きをとったら後遺障害の14級が認定される可能性がありますが、治療を継続することで非該当になるのか?!症状が改善される事が、治療を継続する判断の大きな分岐点になって来ます。


治療費を費やして治療を継続した結果、症状は改善しないで最初の判断した時と同じ状態で症状固定と判断します!となった場合は、治療期間や治療費の妥当性を含めて裁判等で治療継続を判断した責任の所在を明確にする事態も起こり得ます。


実務的には、医師の判断と保険会社の判断は大きな差は無い場合が多く、それでも被害者が治療継続を強く希望する場合は意向をくみ取って1ヶ月間位、治療を継続して変化が無いことを納得してもらって「症状固定」に同意頂くケースが多い。


被害者の納得感が違ってくるのでしょう。

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