保険会社との賠償協議は「実損害の填補」が基本!

保険会社の対応

|保険会社は「賠償の認定金額」に関して説明責任がある!
損害賠償の本筋は「実損害填補」にあります。


これは被った損害分を補填してもらうということです。

賠償の認定や請求に関しての交渉や協議の目的は、賠償金は取れるだけ取る、支払金額は抑えられるだけ抑えるなど、金額が多いか少ないかが目的になっている様に見受けられます。

保険会社にしても、被害者側にしても「こうしたら支払いを抑えることができる!」「どいう方法がより多くの保険金を払ってもらえるのか」的な発想ではなく、実損害を填補するとした対応が必要なのです。


「綺麗ごと言うなよ」!と聞こえて来そうですが、その通りで「綺麗ごと」を言っているのです!


保険会社も被害者も、綺麗ごとかも知れない本来の「実損害填補」が遠くに追いやられている感じが否めません。


実際の協議上では、保険会社側の実損害填補つまり何故その賠償額になるのかの説明が十分に履行されなかった、或いは適切な回答を意識的に回避しする様な事態はあってはならないのです。


保険の本来の役割である「実損害填補」が損害賠償の基本にあると思っていますが、唯一謝罪の意味を含んでいる「慰謝料」は実損害とは一線を引くとの認識がある様です。


|保険会社と協議や交渉する場合の注意点はあるのか?
保険会社と交渉や協議をするに際して、注意すべきことや効果的な方法は・・絶対ではありませんが、あると思います。


参考になるかも知れない?ならないかも知れません!

|損保担当者の交渉力を推し量る

被害者が保険会社と協議する相手としては、直接的には担当者になります。

仮に同じ状況や賠償の協議をする場合でも、本来あってはならないのですが担当者の力量によっては結論が違ってくることはあります。


例えば、交通事故の賠償交渉で難航する項目のひとつに、「過失割合」があります。


担当者が過失割合を説明する際に、被害者側の状況を、判例や弁護士基準の赤本青本、判例タイムズに当てはめて判断をしている、つまり公的な根拠や基準などから説明をし、起きた事故の状況に当てはめて話をしてくる、そしてその都度、被害者に理解度や納得されたか確認し、被害者の主張に耳を貸す担当者は手強いと思って間違いないでしょう。


しかし、担当者が契約者側の一方的な主張を押し通すことや、判例や判例タイムズなどを絶対的な決定力を持っているかの様な説得、或いは根拠や理由を明確に示さないで「法律で決まっていますから!」など言い切る高飛車なやり方をして来る担当者の交渉力はほぼゼロ。


こんなやり方は今の損保ではNGですが、一部ではそんな化石の様な担当者が存在しているのも確かです。


協議や交渉をしながら、かじ取りが出来る経験と自信を持っている担当者は、柔軟に対応することの手法を持ってので、断定した説明や説得は絶対と言っていい程しません。


逆に、説明などに自信のない担当者ほど、結論らしきことを言い切ってしまい説得する事に神経を使っている様な傾向がある様です。

|交渉する過程での注意

担当者からの説明や回答を受けた被害者は、「話の内容は理解できるが、気持ちの上で納得も了承もできない」ことも起こります。

被害者が、違う担当者から説明を受けたい!や、本社のお客様専用の対応部署より同じ説明を受けたい旨を希望した際に二つ返事で了承して来た場合は、正論でぶれない説明をしていると判断してよいと思います。


つまり、説明した内容は本店の苦情対応部署や、金融庁に持ち込んでも一切の問題はない!同じ説明ができると自信をもっているという事です。


交渉事に勝ち負けの概念はありませんが、保険会社側が説明内容について謝罪する事態が起きれば交渉事としては「負け」になります。

サイトなどで、損保との交渉テクニックやアドバイスを見かけることがありますが、中途半端でなければ公平性の観点からそれなりに意義のあることかも。


交渉や協議には相手がいます。


申し入れ内容に対して損保側がどの様な反応や対応をしてくるのかの想定と、その対処法も必要になって来るのです。

過失割合に限りませんが、例えば損保担当者からの提示に対して「納得いかない」と申し入れた場合に、損保担当者は「納得いかない理由は?どうなれば納得行くのか?その理由は?」等と聞いて来るはずです。

その場合の回答や理由も用意して、「納得いかない」を申し入れることが必要になって来ます。

損害の立証義務は請求者側である被害者にあるので、損保側の説明にただ単に「納得いかない」ではなく、損保側は当然のように要求内容と根拠を求めて来ると思って下さい。

|交渉の具体な例で対応を想定してみましょう!

例えば、被害者や相手方から「過失割合の基本や修正要素の適用について」を質問されたら、担当者は「判例タイムズのコピーを送付しますので確認して下さい。その上で適用を主張される内容と理由を教えて下さい」の様なことを言ってくるでしょう。

以前に新人の社員が過失割合の数字に対して、思わず「法律で決まっています」と言い切って、被害者から「該当の条文を教えて下さい」的な反論を受けた事がありました。


また似たような状況で、担当者が「過去の判決などを基準にして判断しました」と、被害者は「判決は個別の判断なので参考にしかならない」。

直属の上司は、対応を代わって担当者が言い切った内容にについて謝罪した上で「該当の条文はありませんが、ひとつの判決はおっしゃる通り参考の範囲なのですが、判例は単なる参考では無く、条文で表される成文法に対して、不文法と言う法体系の一翼を担っています。よって厳密に言えば、個別の判決ではなく判例になると判例法という法律と言えるのです」的な答えになっていました。

そして「判例も参考というなら、何を根拠にどういう主張をされているのか説明してもらえますか?」と質問していました。

ほぼ確実に保険会社は質問に対して、逆に質問で締めくくって来ると思って頂いた方が良いかも知れません。


その準備も当然に必要になって来ます。

|文書での質問や回答を求める場合は要注意です|
また、被害者側が損保の主張や回答に関して、その根拠や理由を担当者に文書で求め様とするケースもありますし、被害者の周囲には文書での提出をアドバイスされる方も結構いる様です。

ひとつの方策として理解出来ますが、回答を文書で求められた場合、保険会社側は大抵「分かりました。文書でのやり取りは時間を要する事になりますので、争点や要点の行き違いにより時間的ロスを避ける為に、文書で質問や要点を提示して下さい」になると思っていいでしょう。


つまり、文書送付を要求した被害者は先に文書を送付しなければならなくなります。


文書は記録や証拠として残り、内容によってはリスクが伴います。


先に文書を送付する側が先にそのリスクを負うことになります。


それに対して、返信して初めてリスクの割合は、五分と五分になります。

また、保険会社側は送付された要望の文書に対しての回答は、顧問などの弁護士に回答文書を作成してもらうか、リーガルチェックを受けての返信文書になるでしょう。

しかし、要求文書を送付される側は、損保側の様にリーガルチェックを受けるのは、現実ではかなり困難と思います。

送付文書の内容を指摘され逆に、要求内容や協議の幅を自ら狭める状況になる事もあります。


|交渉や協議に他の機関や力を借りるのもひとつ!

被害者側の要求や主張などを協議のテーブルに上げる目的や、請求内容の妥当性を確認するために本人訴訟(請求額によっては、少額訴訟)、調停など裁判所を利用するという選択肢もあります。

原告になる側は少額でも費用が発生するのと、手続き等でそれなりの時間が必要になります。


数回程ですが被告側として経験していますが、原告が希望する様な判決は無かったと記憶しています。


個人的には「労多くして功少なし」のイメージがありますので、安易にはお勧めはしません。


しかし、調停などは保険会社の思惑などを知ることもできますし、調停委員の意見を参考にして今後の方針を決めることできます。


損保との交渉は技術的に厳しいという事になりますが、方策のひとつに他の力を利用するという方法があります。


方法のひとつは弁護士に依頼する。


弁護士費用特約を使えば費用の心配なく交渉してもらえます。

もう一つは、加入している保険会社。


要求内容を可能な限り具体的に伝えて、交渉の相談をすることもできます。


その場合は、期待する交渉結果の範囲も明確にしておく事が大切になります。


更に、一歩進んで保険会社に賠償交渉を依頼する方法もあります。


昨今の若者の車離れもあり、自動車保険市場は「牌の奪い合い」です。


既契約者の引き留めもあり、保険会社はそれなりの交渉はすると思います。


ただし、その場合は被害者側も5%でも過失があることを認めることが必要にはなりますが・・、そしてもうひとつ、ケガに関しての交渉は頼めません。

|賠償協議や示談交渉の資料を集める!

賠償の協議や示談交渉を進めるために、賠償に関した根拠をもった資料が必要になります。

車両の時価はいくらで認定しているのか?、代車はいつまで使用可能なのか?格落ち損がは認定してくれるのか?認めないのか?、治療期間はいつまで通院可能?整骨院の施術は・・、等ありますが、争点となる項目は意外と限定されています。


しかし、協議を進めるための資料を、限られた時間で個人が集めるのは大変です!


ネットから、本屋で・・今の時代は集める気持ちになったら何とかなるのかも知れませんが、やはり大仕事になります。


しかし、身近に準備できるところもあるのです。


損害額の認定や、治療期間など協議に必要な根拠になる資料を持っているのが、交渉相手の保険会社です!


保険会社も当然ですが、時価額を認定する根拠や治療期間の打ち切りをするための根拠になる資料が必要なのです。


持っている保険会社から資料をもらって下さい。


被害者に賠償範囲や金額などを提示するための資料です、社外秘であるはずがないのです。


仮に社外秘であることを主張した場合、提示できない資料を根拠に、被害者に金額や期間を通知するのは問題ですよ!という事になります。


もらった資料を精査することで、相手保険会社の主張や根拠が見えて来ます。


対応策を検討できるかも知れませんし、もしかすると保険会社の主張にについて理解や納得ができるかも・・。

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