物の損害に対して賠償を請求された!認定や対応の事例

保険会社の対応

|実際の請求や相談された対物賠償保険で対応する事例です
即答に窮した請求もありました。


以下は、具体的な請求の事例ですが断定的な唯一無二の回答ではありません。


事故の状況は1件1件全て違いますので、ここでは基本的な対応について紹介しています。


|歩行中に車と衝突!着衣や靴等が損傷した

着衣や靴、カバンなどに限らず物の損害について、通常は減価償却によって価値を逓減させて認定する扱いがなされています。

例えば、1万円で購入した洋服が3ヶ月後に事故で使用できなくなった場合、1万円が賠償されるとした場合、3ヶ月使用した分の利益を享受したことになります。


被害者にとっては、被った損害以上の過剰回復ではないかとの考え方になります。


物の損害は買ってから使用している事や、年式や時間の経過に伴って価値が下がりますので、同じ物を新しく買い換えることができる金額の賠償はできないのです。


減価償却の割合について、明確な基準は判例でも示されておらず、個別の状況によってその都度割合を決めているのが一般的な対応になります。


被害事故にあって亡くなった方が、1ヶ月前に購入して事故時に身に着けていたスーツやワイシャツ、靴に対して購入額70%の残存価値を認めて賠償を命じた判決もありました。


また、ベルトや腕時計、Tシャツやジーパン等数点を、購入額のザックリ30%で認定した判決等もありますが、数値の根拠や考え方の指針らしき事も示されいないケースもあります。


個別事情による判断としかいいようがありません。


保険会社も損害認定に関したマニュアルでは、靴は〇年、鞄は〇年と過去の事故事例や判例、一部省庁通達等やデーターベースで大よその償却基準はありますが、非公開の資料になります。


建築物や工作物、機械類等は国税庁の通達で「耐用年数の適用等に関する取扱通達」を基準や参考にして償却年数や率を設定しています。


保険会社が認定するための実務としては、被害者側に「損害請求明細書」(保険会社によって名称は違います)と呼ぶ様な書類を送付及び手交しますが、状況によっては使い捨てカメラを渡す場合もあります。


当書類は事故によって損壊した「物品の名称や種類」「購入年月日」「購入先」「購入金額」「修理やクリーニングの場合は見積もり金額や費用」の一覧を記入する為の書類です。


領収書が残っていればベストですが、カタログ等凡その金額が判明できる様な資料があれば添付を依頼します。


使い捨てカメラは、損害物の全体と汚損した場所が判明出来る写真を数枚撮ることを依頼するためです。


資料が全て揃った時点で、被害者と金額について協定のための協議を行います。


損害物が細かく数点(時計のベルト、化粧小物の損壊、筆記用具やポーチ等々)ある場合は全てまとめての金額で協定する場合もあります。


判例でも金額を認定する根拠が不明なので、交渉力によっては若干違いが出てくるところかも知れません。


|事故によって鬘(かつら)が損壊した!
実際に請求された損害です。

頭部の外傷などによって、手術のために剃髪したことで、新規に「かつら」を購入した場合は、対人賠償保険で購入実費が認定されます。


但し、剃髪が一部分では認定は難しい。

しかし、事故以前から医療上の必要性とは関係なく使用していた「かつら」が損傷した場合は、眼鏡や義肢の様な医療補助具とは違うので、人身関連の損害としての処理は出来ません。


この場合は、着衣の損傷と同様に物損害として処理されるので対物賠償保険の範疇になります。


衣服や他の物損害と同様に、使用年数によって減価償却した金額の認定になります。


「かつら」に限らず、事故により損壊した物品は保険会社の担当者が確認するまで、保管しておいて下さい。


うっかり破棄してしまうと同等の商品を購入するのに苦労しますし、それ以前に保険会社の認定自体に大きな影響を及ぼし、状況によっては使用していた事や存在を認めることが困難な状態も起こり得ます。

|事故の衝撃で「指輪の石」が外れて!??消失した!
事故が起きた後にいろいろ確認したら、指輪の爪からダイヤの石が外れて紛失していた!という請求もありました。


同じ様な請求ですが、純金のネックレスが切れて気が付いたら首から消えていた。

眼鏡や鞄などの様に傷が付いた!や、壊れた!ではなく、「その物」自体がないのですから算定のやりようがありません。

被害者の虚偽申告の可能性などあらゆる状況を含めて、事故の直前まで現物があったという事も不明なのです。


後日、被害者が宝石の鑑定書を示されても、購入された店の証言があったとしても、事故によって紛失や消失した証明にはなりません。


この場合、保険会社はほぼ100%認定できませんし、しません。

損壊でも損傷でもなく、対象物である現物がないのですから賠償金額の基準をどこに置くのか?を検討する以前の問題になります。

仮に、示談による解決の落とし処として購入金額の10%を認めるとした場合、その根拠は?と質問されたとしたら返答に窮することになります。


購入金額の10%を認めるなら、消失した事実も認めなければ説明がつきません。

宝石やネックレスなど現物が無いのですから、領収書や鑑定書などを根拠に対象物があったことを認めるなら、認定する100%を賠償しなければならないでしょう。


事故の直前まであったこと、そして事故直後に消失した事が証明できないなら賠償の対象外と判断されるしかないのです。

保険会社は認定の根拠を説明可能な「賠償の対象外」を選択する事になります。


事故の衝撃によって車載物や、身の回りの品物が消失して痕跡等も不明な場合は、賠償は不可と思って頂いた方がより現実的と思います。


|車の助手席に置いていたノートパソコンが事故の衝撃で故障した!
消失した場合より少し現実的な損害として、自動車に積んでいたパソコンやカメラ等の物が事故によって壊れたのが明確となった場合は、損害賠償が認められるのですが・・。

車載物損壊の場合、加害者側に損害賠償を認めさせるためにはクリアしなければならない問題があります。


最も大きい問題点は、車載物が壊れたのは本当に事故が原因なのか?ということです。

例えば、車両同士が衝突したことで双方の車両の傷や壊れ方に整合性がある場合や、車に衝突されて転倒したことでズボンが破れたということであれば、事故が原因であることは明白だと判断できます

しかし、これが例えば車のシートに置いていたパソコンが壊れたとしたら?!


事故の衝撃でパソコンが床に落ちて故障してしまったという様な場合、「事故前からパソコンは既に壊れていたのではないか?」「パソコンが壊れたのは事故の衝撃と関係ないのではないか?」と考えることもできるのです。

機械的な故障の他に、モニター画面が割れたなどの外観上の損壊もあります。


機械的な損壊や故障は事故と関係あるのか不明ですが、モニター画面や外側カバー部分などの外観が割れたなどの場合は、事故が原因であると明確に言い切れるのでしょうか?

ノートパソコンは開いていたのか?モニター画面はどこに衝突して割れたのか?今度は損傷箇所と衝突した場所などを特定する等、整合性ある場所を探さなければなりません。


この整合性が見つからない場合、認定は不可という結論を出す可能性が高いのです。

現行の法制度の元では、損害賠償請求をする側の被害者が事故によってパソコンが故障した証拠を出して証明しなければなりません。

被害者が損壊した証拠を提示して反論することは容易ではありません。

|車に乗った時の事故を想定しての心構えは大切です!

車の積載物が事故によって損壊した場合、速やかに請求できる様に写真など記録に残すことや、この状態で今事故が起きて積んでいる荷物が壊れた場合はどうなるのか?証明できるのか?・・・・などを想定して、写メくらい撮っておこうか等と常日頃から意識するだけでも、事故が起きた時の対応の仕方に違いが出て来ます。

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